家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
私はこの言葉に救われました。
作家・岸田奈美さんの自伝的エッセイのタイトルです。
テレビドラマにもなっているので知っている方も多いかもしれません。
私も自分で信じられないほど涙を流しながら本を読ませていただきました。
そして、様々なことを思い出しました。
中学校の教員をしているときに、私は絶対に使わなかった言葉があります。
「家族を大切にしなさい」
「父親を大切にしなさい」
「母親を大切にしなさい」
一般的には問題のない言葉です。
どちらかと言えば、尊い言葉なのかもしれません。
しかし、私は絶対に使いませんでした。
家族を大切にしている大人がたくさんいることは理解しています。
しかし、全ての家庭がそうではありません。
多くの立派な「親」がいる一方、「親」という立場を利用して、傍若無人に振る舞う大人が確実に存在します。
すると、そのことに疲弊しながらも一緒にいることしか選択肢がない子供もいるのです。
そのことを知っているならば、大勢の前で
「親を大切にしなさい」などとは言えませんでした。
その一言が、どれだけ深く子供を痛めつけるかを想像することができたからです。
子供を人として扱わず、所有物や奴隷だと勘違いしている大人と同居するしかない子供に
「親を大切にしなさい」
などと言えるわけがありませんでした。
「家族」とは何か。
「親」とは何か。
「父」とは、「母」とは何か。
現代では血縁関係や、法的なつながりによって「家族」が認定をされています。
子供にとって自分の意思など何もないのです。
そんな、辛い環境にある子供に「家族や親を大切にしなさい」などと言えるはずもありませんでした。
仏教の教えの中に「家族」や「父」。「母」という言葉が出てきます。
父母恩重経【ぶもおんじゅきょう】という親の恩について説いたお経もあります。
しかし、何をもって「家族」であり「父」、「母」なのか。
私には明確に答えることができませんでした。
だからこそ、仏教の教えの中にある「家族」という言葉も避けてきました。
しかし、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」この一言に、その答えが入っていました。
血縁、法律、習慣、そんなことではないのです。
「大切な人が家族」
これで、よかったんだ。そう思えたとき救われました。
これまで「家族」や「親」という言葉に悩んだ人に救いになる言葉のように感じます。
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