昔話に学ぶ 分福茶釜 その11 茶釜を供養する
この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)のみんなの坐禅会(子供坐禅会)と臨済宗青年僧の会で開催しているオンライン坐禅会(子供坐禅会)を同時開催で私が話した内容をまとめたものです。
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昔話に学ぶ 分福茶釜 その11 茶釜を供養する

分福茶釜シリーズその11です。
分福茶釜の物語を紹介するのも11回目となります。
これまでの流れをおさらいすると
・タヌキが襲われ、茶釜に化ける
・タヌキは襲われたことが、あまりに怖くて茶釜から元の姿に戻れなくなる
・茶釜の形のタヌキはある日お寺のお経に購入される
・しかし、茶釜がしゃべったり、動くので和尚は気味悪がって茶釜をくず屋さんにあげてしまう。
・くず屋さんは分福茶釜を受け入れて大成功
・くず屋さんは儲けたお金で分福茶釜を元の姿に戻そうと必死になる。
・分福茶釜はくず屋に感謝をするものの、体調をくずす。
・くず屋は分福茶釜を必死に看病し、分福茶釜も幸せを感じる
・くず屋が看病するが分福茶釜は死んでしまう。
。亡くなった分福茶釜を供養する。
このようになっています。
お葬式の後に、何をするか知っていますか?
そうです、納骨を行います。
亡くなった方の骨をお墓に納めます。
前回の話で、分福茶釜と共に過ごした男は、茶釜をお寺に納めました。
タヌキの亡骸ではなく、お骨でもない、茶釜です。
「タヌキが亡くなったんだから、お寺に納めてお参りをするのはお骨じゃないの?」
と思うかもしれません。
「お骨じゃないものを拝むなんてとんでもない!!」
と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
話しは2500年前のことになります。
お釈迦様(仏様)が亡くなったとき、仏様の亡骸は火葬されました。
多くの人がそのお骨を祀りたいと考えて、仏舎利塔を作りました。
しかし、仏舎利が足りません。
そこで、金銀財宝とお釈迦様のお骨を混ぜたそうです。
そして、お釈迦様のお骨と触れあった宝石を仏舎利塔に祀ったと言われています。
つまり、お釈迦様のことを想ってお参りをしようとしたときに、仏舎利塔の中にあるのはお骨ではなくて宝石の可能性があるのです。
もしも、そこにお骨がなかったら、そのときの「お参り」は意味がないものになってしまうのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
手を合わせた、その先に何があるのかを探すことよりも、手を合わせたその姿こそが大切です。
そのことを、昔ばなし分福茶釜では
分福茶釜が亡くなった後の供養の場面で「タヌキの姿でもお骨でもなく茶釜を供養する場面」に現れているように感じます。

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