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昔話に学ぶ 分福茶釜 その7 おかげさま(報恩)

この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)のみんなの坐禅会(子供坐禅会)と臨済宗青年僧の会で開催しているオンライン坐禅会(子供坐禅会)を同時開催で私が話した内容をまとめたものです。

※東光寺(静岡市清水区横砂)のみんなの坐禅会(子供坐禅会)についてはこちらをご覧ください。
※臨済宗青年僧の会 オンライン坐禅会についてはこちらをご覧ください。




昔話に学ぶ 分福茶釜 その7おかげさま(報恩)

600【昔話】74分福茶釜




分福茶釜シリーズその7です。




多くの人が「分福茶釜」と聞いて思い出すのは前回紹介をした、”見世物小屋でタヌキが芸をする”という場面ではないでしょうか。

タヌキは過酷な運命によって、くず屋の男と出会います。

そして、その運命を受け入れ、くず屋の男と見世物小屋で成功をおさめます。

昔話・分福茶釜のすごいところは、ここで話しが終わらないことです。

見世物小屋で大成功し、貧乏だった2人はようやく人並みの生活ができるようになります。

すると、男はあることを始めます。

何を始めたのかと言えば、分福茶釜をタヌキに戻す方法を探り始めたのです。




あなたは、お金を儲けたらどうしますか。

私なら、「あれが欲しい・これが欲しい」と自分のために使ってしまいます。しかし、男は違ったのです。稼いだお金を、元の姿に戻れずに困っているタヌキのために使ったのです。


臨済宗妙心寺派の生活信条に

生かされている自分に感謝し、報恩の行を積みましょう

という大切な教えがあります。

報恩とは「恩に報いる」ことです。


「恩返し」だけでなく、受け取った恩を無駄にしない生き方をすることを報恩というのです。


今、こうして生きていることがどれほど有難いことなのかに気がついたなら、そのことに感謝し、懸命に生きていく。
自分のため・誰かのために、精一杯生きていくことが大切だと教えてくれています。



分福茶釜に登場する男の行動も「報恩」です。


「タヌキが芸をしたら大成功。めでたし、めでたし。」で終わってもいいのに、あえて「その後」を描くことで、


「人は成功するまでだけが大切なのではなく、成功した後をもっと大切にしなくてはいけない」


ということも伝えてくれています。



では、どうしたら このような報恩をすることができるのでしょうか。


残念ながら、昔話・分福茶釜には具体的に書いてありません。


しかし、生活信条にはしっかりと書いてあります。


生かされている自分に感謝し、報恩の行を積みましょう


の前に、


人間の尊さに目覚め、自分の生活も他人の生活も大切にしましょう


と書いてあります。



生かされている自分に感謝するためには、人間の尊さに目覚めることが大切だと言うのです。そして、人間の尊さに目覚めるということは自分の生活も他人の生活も区別することなく大切にすることだと説いています。


では、人間の尊さに目覚めるにはどうしたら良いのでしょうか。これも生活信条に書いてあります。「人間の尊さに目覚め・・・」の前に


1日1度は静かに坐って、身体と呼吸と心を調えましょう


とあるのです。


生活信条のスタートは「1日1度、静かに坐る」なのです。


静かに坐れば、心が調う


調った心で生活を送ることで、人間の尊さに気がつくことができる。


人間の尊さに気がついたとき、恩に報いる生き方をせずにはいられない。


なのです。




分福茶釜に登場する、素晴らしい心を持った男のように生きていくためには、やっぱり坐禅が大切そうです。


600仏教豆知識シール 420-431 昔話シリーズ 分福茶釜7

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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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