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【インスタで学ぶ、後悔しないお葬式⑧】 引導法語

お葬式で引導渡します!! 引導って何?

お葬式の中で僧侶が何か(タイマツや長いお線香など)を持ってグルっと回してから、難しく固い言葉で亡くなった方の生前の様子をお唱えすることがあります。

これは引導法語〔いんどうほうご〕という、亡くなった方の生前の様子を讃え、そして成道することを願うものです。
私は亡くなった大切な方が、いつまでも自分の中に生き続けてくれるためのとっても大切な習慣であり、儀式だと感じています。



※ここで紹介している内容は東光寺(臨済宗妙心寺派)で行っているお葬式についてのお話です。宗派や地域によって違いがあることを御了承ください。


毎週土曜曜日にインスタ(Instagram・インスタグラム)を更新し、その内容をブログにも掲載しています。



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※これまでの記事はこちらです。



600インスタ用 お葬式8 引導法語1


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お葬式の中で松明(たいまつ)を回す場面があるので、今回はそれを描きました~
どんな意味がある?



いつも描いてくれて感謝しています。お葬式に参列しているときに僧侶が松明を回したらびっくりするよね。
ちなみにですが、あの松明を投げる僧侶もいるんだよ!


火事になっちゃうよー



本当の松明を使ってはいないから大丈夫だよね。今は松明に似せたものを使ってるよ。



そりゃそうだよね



ちなみにですが、松明ではなく長いお線香や鍬(くわ)を使うお寺もあるよ。



へ~、そうなんだ~



で、松明を使うのは引導法語(いんどうほうご)をお唱えする場面だよ。引導法語は亡くなった方の生涯や徳行を漢詩にして讃えるものだよ。これをお唱えすることで仏法を説き、故人を迷いの世界から悟りの世界に導きます。



相変わらず説明がかたいっすね
亡くなった方がどんな人生を送られてきたか、どんなにすばらしい方だったか、というのを漢詩というカタチにしてるんだね



その通りです。そして、その漢詩と禅の教えをお唱えすることで亡くなった方が悟りの世界へ進むこと、つまり成仏を祈っています。



そうなんだねー
けど、このときに松明を回す意味がわかんないんだけど



ここには悲しい物語があるんだよ。その昔、修行中の僧侶の母親が川で溺れて亡くなったことがあって、その時にこの僧侶が松明を持って母の亡骸(なきがら)を探して、漢詩を唱え成仏を願ったのです。それから、臨済宗では葬儀の際に松明を投げて漢詩を唱えるようになったんだ。
※詳しいお話は最後に掲載



そういうエピソードがあるんだね



大切な人を失ったときに、今できることを精一杯する、祈らずにはいられない姿がそこにはあったんだよね。だからこそ、1000年以上たった今でも大切な人が成仏してほしいという気持ちがこの儀式に表れているんだよ。



よくわかりました~!
ま、最後に余計なこと言うと、漢詩が日本語だったらもっとわかるのになー



そうだよね。現在の引導法語は日本語読みにしてお唱えしている和尚様も増えてきているから、亡くなった方のことを想いながら聞いてみると意味も分かることが多いと思うよ。漢詩という伝統も大切にしながら、亡くなった方やお参りする方に分かってもらえる言葉を使うというバランスも大切にしているよね。



素晴らしい!




引導の由来 1200年ほど前の中国のお話です。

 黄檗希運(おうばくきうん)禅師は出家して仏道修行中でしたので、母と離れ離れに暮らしていました。父は既に他界しており、母は老いと息子に会えない悲しみから目が見えなくなってしまっていました。

 20年経ったある日、黄檗希運禅師は実家の近くを通ったので母をひと目見たいと他人のフリをして「一晩止めて欲しい」と家に寄りました。自分が息子だと分かってしまうと親子の愛に引かれて修行の妨げになると思い、盲目の母に他人のふりをしたまま、その場を立ち去りました。

 しかし、村の人に「今立ち去ったのは息子だ」と聞いた母は目が見えないのに我が子の名前を呼び続けて必死に跡を追いました。しかし、途中で誤って河に落ち、溺れ死んでしまったのです。黄檗希運禅師はそれを知り、真夜中だというのに松明(たいまつ)を持って河に入り母の亡骸を探し、弔い一句唱えました。その時の一句が



広河源頭乾徹底  〔こうが げんとう てっていに かわく〕
是此五逆無所蔵  〔これ この ごぎゃくぞうするところなし〕
一子出家九族生天 〔いっし しゅっけすれば きゅうじょく てんにしょうず〕
若是妄語諸仏妄語 〔もし これ もうごならば しょぶつ もうごす〕

この広い河の水が全て乾ききれば、
母を死なせてしまったというこの大きな罪を隠すところはどこにもない。
一人が出家すればその家族は九代にわたり天界に生まれ変わると言われている、
もしこれが嘘ならば 仏は皆を欺いたということになる。

というものでした。

それから、禅宗では葬儀の際に松明を投げて引導法語を唱えるようになったと言われています。


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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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