固い土の中にあるサツマイモに学ぶこと

前々回と前回の記事で、
サラサラだけど栄養が少ない土にサツマイモの苗を植えると、
サツマイモは栄養がない上辺の土ではなく、その下にある非常に固い土にまで根を伸ばします。
ですから、サツマイモが非常に固い土の部分にできたことを紹介させてもらいました。
前々回の記事「硬い土と柔らかい土」はこちら
前回の記事「サツマイモの花が教えてくれること」はこちらです。
禅の言葉に
随処作主 立処皆真 【随処に主となれば 立処皆真なり】
というものがあります。臨済宗最初の和尚様である臨済禅師の教えをまとめた臨済録という書物に出てくる言葉です。
辞書などで調べると
どのような状況に身を置いても全く自己の本性を乱すことなく無礙自在に行動すれば、いかなるところにおいても、そこが真実そのものの場となる。
といったことが書いてあります。
本来の自分を生かせば、周囲に振り回されることはない。
と表現することができる言葉です。
禅では
今、自分にできることを精一杯に行うことの尊さ
を様々な形で表現をします。随処作主 立処皆真【随処(ずいしょ)に主(しゅ)となれば 立処皆真(りっしょみなしん)なり】もその一つです。
自分の持てる力を精一杯に出し切る
言葉にすると、誰でも出来そうに感じますが、なかなかできることではありません。
しかし、身近に自分の持てる力を精一杯に出し切ることができているものがあります。
それがサツマイモです。
土の中に栄養分がなければ、迷うことなく下へ下へと根を伸ばすサツマイモの姿が”随処(ずいしょ)に主(しゅ)となる“なのです。
やがて、根は固い土の部分まで届くのですが、そこの土が固いか柔らかいかなど関係なく、根を膨らませてサツマイモへと成長していきます。
石も混ざった固い土ですので、サツマイモも思い通りに成長できません。曲がったり欠けたり、異様に長くなったり・・・様々な形で成長していきます。
出来上がったサツマイモの形が不揃いであっても、サツマイモ自身はそんなことにかまっていません。
その曲がったり欠けたりした姿が「自分の持てる力を精一杯に出し切る姿」そのものです。
今できることを 精一杯
実践は難しい。正しく大切なことなのに、うっかり忘れてしまうこともあります。
それでも、土の中で曲がろうが欠けようが、異様に長くなろうが、精一杯に成長しているサツマイモを見たり感じたりした時には、
随処作主 立処皆真【随処(ずいしょ)に主(しゅ)となれば 立処皆真(りっしょみなしん)なり】
という言葉を思い出していただければ幸いです。
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