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なんで学校へ行かないといけないんでしょう? その2

臨済宗青年僧の会で開催しているオンライン坐禅会(子供坐禅会)で話をしたときの原稿です。

この記事は「なんで学校へ行かないといけないんでしょう?」という質問に対する3つの回答の2つ目です。

今回はこの質問に対して、以下の3通りの答えをお伝えしようと考えています。




1つ目の答えは、憲法や法律から見た答え。
※記事はこちらです。

2つ目の答えは、先日見た映画をヒントにした答え。

そして3つ目の答えは、仏教・禅の言葉をヒントにした答えです。






今回は

先日見た映画をヒントにした答え

を、紹介します。




前回の記事で、

「なんで学校へ行かないといけないんでしょう?」

という質問は”思い込み”が生んだ間違いだと紹介をしました。

”義務”は学校へ行くことではなく、大人達がこれからを生きていく子供達に教育を受けさせる義務なのです。

ですから、「行かなければいけない」場所などないのです。




しかし、”思い込み”は誰にでも起こるものです。



600オンライン坐禅会 法話 子供坐禅会 学校へはいかなくてはいけないのですか。1

先日見た「ドリーム」という映画にも印象的なシーンがありました。

この映画は2017年に公開されたアメリカの映画です。

内容は、1962年にアメリカ人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を影で支えた、NASAの3人の黒人系女性スタッフの物語です。



私はこの映画を見て、そういえば人種差別の問題が露骨にあった時代があることを学生時代に習ったことを思い出しました。そういった差別とどうNASAの人達がどのように向き合い改善していったのかを描いた映画です。



主人公の3人は黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるのですが、それでもひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなるのです。




600オンライン坐禅会 法話 子供坐禅会 学校へはいかなくてはいけないのですか。2

印象的なシーンの一つに、白人の男性責任者がトイレの看板を破壊し、「NASAでは小便の色は同じだ」と叫ぶシーンがあります。



あるとき、白人の男性責任者は自分の部下の黒人女性が毎日のように長い休憩時間をとっていることに気がついて


「君はなぜそんなに長く休憩をしているんだ!?」


と質問をします。




このとき、黒人女性は怒りに震えながら


・黒人用のトイレが、この建物にないこと

・トイレに行くために何百メートルも離れた、多くの黒人が働く建物にしか黒人用のトイレがないこと

・そのためにトイレに行くたびに”休憩時間”と多くの労力が必要なこと


を訴えたのです。




このことを言われて、初めて白人の男性責任者は、黒人用のトイレが近くにないことを知ったのです。


自分がいつも近くにあるトイレを使っていたので、そんな遠くにまでトイレのために移動する人がいるとは思っていなかったのです。


黒人女性が休みばかり取るから、自分の仕事が進まないと感じていた白人の男性責任者にとっては、自分が持っている「トイレは近くにある」という自分勝手な”思い込み”こそが、相手を深く傷つけ、そして自分自身を苦しめていたのです。



白人の男性責任者は自分の間違った”思い込み”を反省し、正しい行動にでたのです。

それが”白人専用”と書かれたトイレの看板を破壊し、「NASAでは小便の色は同じだ」と叫ぶシーンだったのです。



このシーンから私達が学ぶべきこと、「差別はよくない」ということだけではありません。


誰もが差別をしている、思い込みをしていることに気がつかなくてはいけないのです。


身近にある情報だけを信じて、それが”当たり前”になってしまう。




もちろん、悪いことばかりではありませんが、時には間違いをしてしまうことになるのです。


「なんで学校へ行かないといけないんでしょう?」


も同じです。



いつの間にか、「学校はいかなくてはいけないところ」という思い込みに植え付けてしまっているのです。


広い世界をみて、広く情報を集めることが容易になった今だからこそ、自分が正しいと思っていることも見直してみることが大切なのかもしれません。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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