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オンライン坐禅会 法話 【冷暖自知】その2

前回の記事で

冷暖自知【れいだんじち】

という禅語を紹介させていただきました。

※前回の記事はこちらです。




600オンライン坐禅会用 冷暖自知
冷暖自知は

実際に触れば、冷たいか暖かいかがわかるように、悟りの体験はそれを得た人にだけが知ることができる。言葉では説明しきれない。

という意味があると同時に、


冷たいものを冷たい、暖かいものを暖かいと素直に観ることができる心の大切さも説いていると私は考えています。



では、暖かさや冷たさを「わかる」とはどういうことでしょう。



「わかる」とは、知識として知ることではありません。




「実感する」や「納得する」という表現が適切なように感じます。






私は中学校から大学まで卓球部に所属していました。


その後、中学校の教員になったときには卓球部の顧問もさせてもらいました。


自分が選手として練習していたときも、顧問として生徒に教えたときも「素振り」は大切にしていました。


卓球には「基礎打ち」というものがあります。


その名の通り基本的な打ち方です。


振り方を知識として知ることは難しくありません。


例えば、基本的な打ち方の一つに「フォア打ち」というものがあります。



言葉で説明すれば、


1.ラケットを利き手で握る。

2.ラケットを腰のあたりに構える。

3.2のラケットはまっすぐ おでこの前に移動する

(最近はおでこまで運ばず、途中で止まることが主流です・・・)




しかし、これを実際にやろうとするとなかなかうまくいきません。


何度も、何度も素振りをすることで、ようやく形が出来上がっていきます。


しかし、素振りができるようになったとしても、実際にボールが1回飛んでくれば、たちまちフォームは崩れてしまいます。


ですから、ここでも繰り返します。


一球打つごとに、素振りをします。


素振りをしたら、球を打つ。


しかし、またフォームが崩れます。


それでも、素振りをして、球を打ちます。


このように何度も何度素振りを繰り返していく中で、徐々に美しいフォームを手に入れていくのです。


この美しいフォームを手に入れることができると、様々な実践的な練習も飛躍的に上達します。


当然、試合の結果にもつながってくるのです。





もちろん、素振りなどできなくても試合に出られます。


あまり、勝つことができませんが、運が良ければ1回くらいは勝つこともできます。


しかし、負けたときになぜ負けたのか、どうしたら成長できるのかがわからないのです。


成長したいと思ったら、素振りは欠かせないのです。






仏教や禅も同じです。


仏教・禅は心の安心を求めます。


そのための実践が多くあります。





どんなスポーツも練習方法を書いた本があります。


本を読めば勉強はできます。


でも、しっかり素振りして、基礎を体で覚えて、練習するから上手くなる、卓球を知ることができます。



もし、私達が「心の安心」を求めるならば、素振りのような基本が大切です。


心の安心を求める基礎基本が坐禅だと私は考えています。


身体と呼吸と心を調える坐禅が、基礎基本なのです。


素振りは繰り返し何度も何度も続けると、身体がしっかりと覚えてくれます。


一度覚えたからと言って素振りをしなくなることはありません。


気がつくと振っています。





坐禅も同じです。


何度も何度も坐ることで、心は調っていきますし、


坐れるようになったからといって、終わりではありません。


続けて、坐り続けるからこそ感じられること、分かることがたくさんあります。


初めて坐禅をする方は、ぜひこれからも坐禅を続けていただき、続けて坐っている方は、ぜひこれからも続けてください。


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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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