fc2ブログ

ヒイラギは丸くなるでは人間は!?

600花に囲まれる老女


「老」という漢字も見てどう思いますか?


「いやだなぁ」と思う方も多いかもしれません。


仏教の言葉にも「生老病死」という言葉があるように「老」、老いることは苦しみのひとつになっています。


今までできたことができなくなることは確かに苦しみです。


しかし、禅語の中には「老」を良い意味としてとらえる言葉もあります。例えば


老古錐【ろうこすい】 


もその一つです。


これは、


使い古した錐(きり)。
長い間使い込んで、先が丸くなってしまった錐。


と言う意味です。転じて、


円熟した力を持つ禅の師匠・老齢の禅僧に対する親愛の情を含んだ敬称


を示します。


老いること=悪いこと



という思い込みを捨てることの大切さを表してくれています。





先日、フリーペーパーに「ヒイラギは丸くなる」という記事を見つけました。節分では、とげとげしさで鬼を撃退するヒイラギが丸くなるというのです。

樹木医の喜多智靖氏の記事には


ヒイラギは、樹齢が進み老木になると、だんだんと葉の棘(トゲ)が丸くなる傾向にあります。よく「人間、年を取ると丸くなる」といいますが、人間もヒイラギも同じのようです。

この樹齢とともに葉が丸くなるような現象を、専門用語で「異形葉性」といいます。この現象もどのように起こっているのか、そのメカニズムはわからない




とありました。



私は、ここまで読んで

”よく「人間、年を取ると丸くなる」といいますが“

という部分に引っかかりました。


最近は「人間、年を取ると丸くなる」という言葉と同時に


「キレる高齢者」

「施設で暴力をふる高齢者」

「感情のコントロールができない高齢者」


などという言葉をよく聞きます。


「年を取ると丸くなる」というよりも、むしろこちらの方が多いかも・・・


と考えてしまう方もいるかもしれません。




しかし、この記事には続きがありました。



ヨーロッパで行なわれたセイヨウヒイラギを対象とした研究によると、動物に葉を捕食されるほど、棘が増えるということがわかりました。これはすごいですね!つまり、樹木は自分の身を動物から守るために、自分自身で葉をトゲトゲにしているということです!

たしかに、ヒイラギの丸い葉がついている枝を剪定すると、新しく出てくる葉は棘のあるものが多くなります。これを一般的に、「若返り」とか「先祖返り」と呼んだりします。







ヒイラギは攻撃をされると身を守るために棘をだすのです。


では、人間はどうでしょう?


もちろん、攻撃をされれば棘が出ます。


理不尽に攻撃を受けることもあります。こういった場合は棘は必要です。


しかし、不要な棘もあります。自分の棘で自分を傷つけることも珍しいありません。


では、なぜ攻撃をされるのでしょうか。攻撃をする相手だけが悪いのでしょうか。


残念ながら、こちらに非があることも少なくありません。


そのことを見失うと、いつまでも誰かと交戦状態が続き、どんどん棘が出てきてしまう・・・




「老」という言葉を「円熟・丸」と受け止める為に、人間の場合には、まず自分が他人への攻撃を止めてみることが大切だと、ヒイラギの生態に教えられた気がします。



そう考えると、他人の悪口を良く言っている人、自分の非を認めない人ほど、「老」になっても刺々しく、円熟や丸とは離れたところにいるように感じます。




でも、悪口を全く言わないのは難しい・・・



だからこそ、「棘」を見たときだけ、見た日だけは、悪口を言うことを止めてみようと考えています。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる