ヒイラギは丸くなるでは人間は!?

「老」という漢字も見てどう思いますか?
「いやだなぁ」と思う方も多いかもしれません。
仏教の言葉にも「生老病死」という言葉があるように「老」、老いることは苦しみのひとつになっています。
今までできたことができなくなることは確かに苦しみです。
しかし、禅語の中には「老」を良い意味としてとらえる言葉もあります。例えば
老古錐【ろうこすい】
もその一つです。
これは、
使い古した錐(きり)。
長い間使い込んで、先が丸くなってしまった錐。
と言う意味です。転じて、
円熟した力を持つ禅の師匠・老齢の禅僧に対する親愛の情を含んだ敬称
を示します。
老いること=悪いこと
という思い込みを捨てることの大切さを表してくれています。
先日、フリーペーパーに「ヒイラギは丸くなる」という記事を見つけました。節分では、とげとげしさで鬼を撃退するヒイラギが丸くなるというのです。
樹木医の喜多智靖氏の記事には
ヒイラギは、樹齢が進み老木になると、だんだんと葉の棘(トゲ)が丸くなる傾向にあります。よく「人間、年を取ると丸くなる」といいますが、人間もヒイラギも同じのようです。
この樹齢とともに葉が丸くなるような現象を、専門用語で「異形葉性」といいます。この現象もどのように起こっているのか、そのメカニズムはわからない
とありました。
私は、ここまで読んで
”よく「人間、年を取ると丸くなる」といいますが“
という部分に引っかかりました。
最近は「人間、年を取ると丸くなる」という言葉と同時に
「キレる高齢者」
「施設で暴力をふる高齢者」
「感情のコントロールができない高齢者」
などという言葉をよく聞きます。
「年を取ると丸くなる」というよりも、むしろこちらの方が多いかも・・・
と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、この記事には続きがありました。
ヨーロッパで行なわれたセイヨウヒイラギを対象とした研究によると、動物に葉を捕食されるほど、棘が増えるということがわかりました。これはすごいですね!つまり、樹木は自分の身を動物から守るために、自分自身で葉をトゲトゲにしているということです!
たしかに、ヒイラギの丸い葉がついている枝を剪定すると、新しく出てくる葉は棘のあるものが多くなります。これを一般的に、「若返り」とか「先祖返り」と呼んだりします。
ヒイラギは攻撃をされると身を守るために棘をだすのです。
では、人間はどうでしょう?
もちろん、攻撃をされれば棘が出ます。
理不尽に攻撃を受けることもあります。こういった場合は棘は必要です。
しかし、不要な棘もあります。自分の棘で自分を傷つけることも珍しいありません。
では、なぜ攻撃をされるのでしょうか。攻撃をする相手だけが悪いのでしょうか。
残念ながら、こちらに非があることも少なくありません。
そのことを見失うと、いつまでも誰かと交戦状態が続き、どんどん棘が出てきてしまう・・・
「老」という言葉を「円熟・丸」と受け止める為に、人間の場合には、まず自分が他人への攻撃を止めてみることが大切だと、ヒイラギの生態に教えられた気がします。
そう考えると、他人の悪口を良く言っている人、自分の非を認めない人ほど、「老」になっても刺々しく、円熟や丸とは離れたところにいるように感じます。
でも、悪口を全く言わないのは難しい・・・
だからこそ、「棘」を見たときだけ、見た日だけは、悪口を言うことを止めてみようと考えています。
- 関連記事
-
- 人間は廊下で2週間過ごすとどうなるのでしょうか (2022/05/08)
- 毎年恒例 本堂の衣替え (2022/05/05)
- ヒイラギは丸くなるでは人間は!? (2022/05/03)
- 竹を切ると草が生える (2022/05/02)
- 竹のお兄さんは場所を選ばない (2022/05/01)