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子供坐禅会 法話 【あの有名人も坐禅をしている】

臨済宗青年僧の会で開催しているオンライン坐禅会(子供坐禅会)で話をしたときの原稿です。




突然ですが体育の授業の最初に何をしますか。


「今日はマット運動をします」最初に何をしますか?

「今日はドッチボールをします」最初に何をしますか?

「今日はサッカーをします」最初に何をしますか?


どんなスポーツをするにしても、ランニングとストレッチをしませんか?


なぜでしょう。


そう、ケガをしないためです。


ランニングをして体を温めれば、激しい運動をしてもケガをする確率が下がります。


ストレッチをすることで、これから使う部分を伸ばしておけばケガをする確率を下げることができます。


だから、ランニングをしたり、ストレッチをします。


どんな運動の前に ランニングとストレッチをするとことは、どんな運動にも共通する大切なことです。


運動の前にはランニングとストレッチ。


これは運動の基礎基本です。






では、人生を歩む前に必要なこととは何でしょうか。


これからみんなはたくさんの勉強をします。運動をします。経験をします。


その後、様々な生き方を選択していきます。


そんなときに、必ず必要になる基礎基本があります。



皆さんは、今何をしましたか?


そうです、坐禅です。



これが、人生の基礎基本です。



え、坐禅が人生の基礎基本か!?



疑いますよね。


坐禅をしたら勉強ができるようになるのか?


運動ができるようになるのか?


自分が望む人生がすぐに手に入るのか?




もちろん・・・ 入りません。


でも、これが人生の基礎基本なのです。


さっき、ランニングとストレッチが運動の基礎基本だと言いました。


ランニングとストレッチをずっとしていたらマット運動が上手になりますか?


ドッチボールで上手くよけられるようになりますか?サッカーですごいシュートが打てるようになりますか?


なりませんね。でも、みんなランニングとストレッチをします。



なんでか?必要だからです。



もちろん、ランニングとストレッチをしなくても運動はできます。しかし、ケガをしたり上手になりにくかったりします。


実は坐禅も同じです。でも、お坊さんがいくら「坐禅が大事」と言っても面白くありません。


そこで、今日はお坊さん以外の人が「坐禅が大事」と言ってくれていたことを紹介したいと思います。
 






さて、毎日いろいろなニュースがありますが、最近うれしいニュースがありましたよね。最近と言うより少し前ですが・・・そうです。サッカー日本代表がワールドカップ出場を決めました。最後はオーストラリアに勝てばワールドカップ出場が決まると言う試合に見事勝利してワールドカップ出場を決めました。



 このサッカー日本代表のキャプテンを知っていますか。そうです、吉田 麻也(よしだ まや)選手です。


では、その前のキャプテンは知っていますか?


これまでの日本代表で一番長くキャプテンを務めたのが静岡出身の長谷部選手です。2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会まで、日本代表史上最も長くキャプテンを務めました。


キャプテンとして、そしてドイツのチームでも活躍をしているので知っている人も多いと思います。今、日本でサッカー協会に登録をしている人、つまり遊びではなくしっかりとサッカーに取り組んでいる人が約90万人と言われています。その中で日本代表になるだけでも大変なのに、そのキャプテンをしていたのだからとってもすごい人ですね。



長谷部選手は長い間日本代表のキャプテンをしていました。その間には、うれしいことだけでなくとっても苦しいことや辛いこともあったと思います。


うれしいとき、悲しいとき、苦しいとき、キャプテンになる前からどんな時でも長谷部選手は毎日続けていることがあるそうです。それは、長谷部選手が書いた本の中にこのように書いてありました。




600本 長谷部選手


1人で部屋に入ると電気をつけたままにして、ベッドに横になる。音楽もテレビも消す。そして、目を開けたまま、天井を見つめるようにして、息を整えながら全身の力を抜いていく。大事なのはザワザワとした心を少しずつ落ち着かせていくことだった。練習と緊張でざらついた心をメンテナンスしてあげるのだ。





と。実は坐禅を一生懸命することの大切を表す



「一日一度は静かに坐って身と呼吸と心を調えましょう」



という言葉があります。坐禅は身と呼吸と心を調えるものですよという意味です。


私は長谷部選手の本を読んだとき、これも「1日1度は身と呼吸と心を調える」ことの実践だと思いました。


しかし、それと同時に「なんでサッカー選手が坐禅と似たことをしているのだろう?」と疑問に感じました。


長谷部選手はなぜ毎日「身と呼吸と心を調える」のでしょうか。実は長谷部選手はいくつもの大きな会社を作った稲盛さんという人が「1日1回、深呼吸をして、必ず心を鎮める時間を作りなさい」と言っているのを聞いて「これは良いことだ!よし、自分もやってみよう!」と考えて毎日やるようになったそうです。



実は大きな会社を作った社長さんである稲盛さん、みんなと同じように坐禅をしたことがある人なのです。


みんなと同じようにと言っても1回だけではありません。



大きな会社の社長をした後に修行を一生懸命するお寺に入って、修行をした和尚さんなのです。そして、今ではお寺から会社に戻って坐禅などの修行で勉強したことを使ってさらに活躍をしている人です。



つまり、坐禅は、私達お坊さんのように頭を剃って衣を着ている人だけのものではなく、社会で一生懸命働く人にも、スポーツ選手にも、そしてみんなにも必要とされている、とってもすごいものなのです。




では、坐禅とは何でしょうか。



坐禅というと、足を組んで痛いのを我慢するもの。少しでも動いたら木の棒を持った人が来て叩いていく。そのように考えている人もいるかもしれません。でも安心してください。そんなに怖いものではありません。



「一日一度は静かに坐って身と呼吸と心を調えましょう」これが坐禅です。静かに坐って、姿勢を良くして、ゆっくり息をする。すると心が落ち着きます。心がきれいになると言っても良いかもしれません。心が落ち着くことを感じることができるのが坐禅です。




長谷部選手は本の中で


心は、車で言うところのエンジンであり、ピアノで言うところの「弦」である。だから車のエンジンに油をさし、ピアノの弦を調律する。そんな感覚を心に対して持っているのです。だから「心を強くする」と言うよりも、「整える」と言った方が良いのです。


と書いてありました。




長谷部選手はベッドで横になって心を調えました。稲盛さんは深呼吸をして心を調えました。二人が心を調える基本にしたものこそ、今みんなが実際に行った坐禅です。


いつでも、どこでもすることができる、そして和尚さんだけでなく誰もが本当は必要としているのが坐禅です。ですから、今から一生懸命坐禅に取り組んで見てください!!そして、この実践が普段の生活の中にも活かせることを長谷部選手だけでなく、これまで多くの人達が教えてくれています。
みんなも勉強をする前、授業を受ける前、いつでも どこでも 姿勢を正してゆっくりと呼吸をするための練習を今日はしていただきます。後はどれだけ皆様1人1人が実践をするかなのです。

さあ、一緒に身体と呼吸と心を調えましょう

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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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