昔話 「ねずみの嫁入り」に学ぶ その4

問題です。
氷が溶けたら何になりますか
そうです、水です。
でも、理科のテストで
「春になる」
と答えた小学生がいました。
理科のテストでは×になってしまいますが、人間の感性としてハナマルです!
水を凍らせると何になりますか。
そうです、氷です。
その氷を溶かすと何になりますか?
そうです、水です。
水を凍らせて、再び解凍すれば元の水になります。
では
野菜を凍らせて、再び解凍するとどうなりますか?
元に戻りますか?
そうです、元には戻りません。
しなッとした野菜と染み出た水になります。
野菜は凍らせて解凍すると、水が出るのです。
なぜでしょうか?
そして、この水はどこにあったものでしょうか。
もちろん水は野菜の中にありました。
野菜を凍らせることで、野菜の中の水が凍ります。水が凍るときには体積が増えますので、野菜の細胞の壁を壊します。
そして、凍った野菜を解凍すると凍っていた氷が溶けて水になりますが細胞壁という壁が壊れてしまっているので水が出てしまうのです。
さて、話は昔話に戻ります。
皆さんは「ねずみの嫁入り」という昔話を知っていますか?
以前の記事で紹介をしていますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
今回は4回目と言うことで、前回と同様に簡単に紹介をします。
「ねずみの嫁入り」は親ねずみが自慢の娘の結婚相手を探すが、結局は一番近くに幸せがあったことに気がつく物語です。
この話で興味深いのは、親ねずみが結婚のお願いをする相手です。
話しに登場するのは太陽・雲・風・壁です。
それぞれが、大切なことを教えてくれているように感じます。
ねずみは風に「私より壁の方がすごいですよ」と言われます。
ここで「壁」が出てくることも驚きです。
なぜ、壁なのでしょうか? 何を伝えようとしているのでしょうか?
皆さんは「玄関」という言葉を聞いたことがあると思います。
ご存じの通り、玄関は靴を脱ぎ上着や帽子をはずして中に入る場所です。
この「玄関」という言葉は、実は禅の言葉、禅語です。
現在では、家の入り口を「玄関」と呼びますが、もともと玄関は禅宗の寺院にしかなかったものです。
玄関の「玄」は奥深い悟りの境地という意味があります。
そして「関」は厳しい入口・関門という意味があります。
つまり禅宗の寺院では
「奥深い悟りの境地を知るための関所・関門ですよ。ここは厳しい修行道場ですよ!」
とわかるように入口に「玄関」の文字を掲げていたそうです。
その「玄関」という言葉が一般的な家屋にも取り入れられ、家屋への入口を玄関と言うようになったと言われています。
このように、「関」という関門を大切にします。
しかし、これは修行者を拒絶するためのものではありません。
突破できると信じられる人に、関門は与えられます。
ねずみの嫁入りでも、風によって壁は紹介されますが、壁は「ねずみに穴を開けられる」と言います。
これはまさに、「奥深い悟りの境地を知るための関所」があり、そこを私達が突破できる存在だと教えてくれているように感じます。
野菜は一度凍らせることで、自分の水分で自分の壁を壊すことができました。
人も同じです。自分の中にある”心”で、自分が作り出した壁を崩すことができます。
そう信じて、日常の生活を送ることの大切さを、「ねずみの嫁入り」の中で「壁はねずみの穴を開けられる」ということが教えてくれています。
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