昔話シリーズ 猿蟹合戦 【3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・】

昔話シリーズ 猿蟹合戦 【3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・】
この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。
皆さんご存じの通り、猿蟹合戦【さるかにがっせん】のお話は
1.猿が蟹の持っていたおにぎりを柿の種と交換
2.蟹は柿の種を植えて育てる
3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・
4.栗の登場
5.蜂の登場
6.昆布の登場
7.臼の登場
8.猿をこらしめ、猿を許す
となっています。
この猿蟹合戦の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。
今回は 「3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・」 という場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。
とうとう悲劇が起こります。
蟹が毎日一生懸命声をかけながら育てた柿の木が成長し、立派な実がなり始めると猿が再びやってきます。
上手に柿を取ることができない蟹は猿に柿の実を取るようにお願いをします。
しかし、猿は熟した柿を木の上で食べてしまい、蟹にはまだ青い柿の実を投げるのです・・・・
猿が投げた柿を食べたカニは
「こんなしぶいのはだめだよ。もっとあまいのをおくれよ。」
と言いますと、猿は、もっと青いのを投げました。カニが、
「今度もやっぱりしぶくってだめだ。ほんとうにあまいのをおくれよ。」
と言いますと、猿はうるさそうに、
「よし、そんならこれをやる。」
と言いながら、いちばん青い硬いのをもいで、力いっぱい投げつけますと、カニは甲羅をうたれて、目をまわして、死んでしまいました。
熟した柿は美味しいのに、まだ青い柿はおいしくないどころか、相手を痛めつけることになってしまうのです。
坐禅会の最後にお唱えする白隠禅師坐禅和讃【はくいんぜんじ ざぜんわさん】というお経に
衆生本来仏なり
【しゅじょう ほんらい ほとけなり】
水と氷の如くにて
【みずと こおりの ごとくにて】
水を離れて氷なく
【みずを はなれて こおりなく】
衆生の外に仏なし
【しゅじょうの ほかに ほとけなし】
という一文があります。
みんな仏様のような素晴らしい心を持っています。
しかし、その心は水と氷のようなものです。水は多くの人々を救いますが、固い氷は時として人を傷つけます。
しかし、水と氷は分けることができません。 氷は水に変化しますし、水が氷になってしまうこともあります。
同じように、どこか遠くに仏様がいるのではなく、私達の心が仏様なのです!
と言った意味があります。
青い柿も熟せば美味しい柿となり、猿と蟹が美味しく食べることができたかもしれません。
猿蟹合戦のこの場面は、猿による悪行を見せるだけでなく
その奥に、坐禅をしたりお経をお唱えしたり、良い習慣を大切にすることで、
氷が溶けて水になるように、
柿が熟して甘くなるように、
私達の心も成長して、熟して、柔らかくなることの大切さを教えてくれているように感じます。

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