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昔話シリーズ 猿蟹合戦 【2.蟹は柿の種を植えて育てる】

600【昔話】48猿蟹合戦

昔話シリーズ 猿蟹合戦 【2.蟹は柿の種を植えて育てる】



この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。



皆さんご存じの通り、猿蟹合戦【さるかにがっせん】のお話は


1.猿が蟹の持っていたおにぎりを柿の種と交換
2.蟹は柿の種を植えて育てる
3.できた柿を猿が食べて青い柿で・・・
4.栗の登場
5.蜂の登場
6.昆布の登場
7.臼の登場
8.猿をこらしめ、猿を許す



となっています。


この猿蟹合戦の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。


今回は 「2.蟹は柿の種を植えて育てる」 という場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。



蟹はおにぎりと交換した柿の種を育てることにしました。

種を植えると、水をやりながら

「早く芽を出せ、柿の種。出さぬと、はさみでちょん切るぞ。」

と声をかけました。

すると、驚いたことに目が出ました。次に

「早く木になれ、柿の芽よ。ならぬと、はさみでちょん切るぞ。」

と毎日声をかけると大きな木になりました。

そこで、

「早く実がなれ、柿の木よ。ならぬと、はさみでちょん切るぞ。」

と毎日声をかけると多くの実がなったのです。





この部分を読んだとき、


「蟹はなんて悪いやつだ!! 脅かして成長させるなんてとんでもない!!!」


と思うかもしれません。


しかし、この場面の大切な部分は厳しい言葉だけでなく、「毎日」という部分です。




植物を育てたことがある人なら「毎日」がどれだけ大変かはわかると思います。


毎日声をかけるとためには、雨の日も、風の日も、暑い日も、寒い日も、体調が悪い日も、忙しい日も、毎日そこに通わなくてはならないのです。


しかも、声をかけるだけではありません。


草を刈り、石を拾い、虫にも対応しなければなりません。





毎日厳しい言葉をかけたその裏で、蟹は自分にはもっと厳しく接していたのです。


私達は優しい言葉をかけられたらうれしいし、厳しい言葉をかけられるとやる気を失うかもしれません。


しかし、やる気を失う厳しい言葉は、偉そうにしているだけで何もしない人が発したものが多いように感じます。


反対に、信頼できる人が発した厳しい言葉は大切なものを気づかせてくれることが多くあります。




柿の木と一緒に毎日を過ごした蟹の厳しい言葉だったからこそ、柿も大きく成長できたのです。


私達も普段の生活の中で厳しい言葉を受け取ることがあります。


そんな時には、その厳しい言葉の中にどのような思いが込められているのか感じ取ることが大切です。





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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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