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昔話シリーズ 桃太郎 【5:桃太郎、鬼ヶ島へ】

この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。




600【昔話】41桃太郎

昔話シリーズ 桃太郎 【5:桃太郎、鬼ヶ島へ】


皆さんご存じの通り、桃太郎のお話は

1.川に桃が流れてくる
2.お婆さんが桃に「あっちの水は辛いよ、こっちの水は甘いよ」と言う
3.桃から桃太郎が生まれる
4.おじいさんとおばあさんが桃太郎のめんどうをみる
5.桃太郎、鬼ヶ島へ
6.おじいさん、おばあさんがきびだんごを作る
7.きびだんごを欲しがる猿、犬、きじを仲間にする
8.船で鬼ヶ島へ出発
9.鬼ヶ島到着
10.鬼を退治して帰ってくる



となっています。

この桃太郎の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。


今回は 「5.桃太郎、鬼ヶ島へ」 という場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。





桃から生まれた桃太郎は順調に成長をしていきます。


そんなある日、桃太郎は


「もう何年も何年も船をこいで行くと、遠い遠い海のはてに、鬼が島という所がある。悪い鬼どもが、いかめしい くろがねのお城の中に住んで、ほうぼうの国からかすめ取った貴い宝物を守っている。」


という話を聞きます。


桃太郎はこの話をきくと、その鬼が島へ行ってみたくって、もう居ても立ってもいられなくなりました。そこでうちへ帰るとさっそく、おじいさんの前へ出て、


「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを下さい。」


と言いました。


おじいさんはびっくりして、


「お前どこへ行くのだ。」


と聞きました。


「鬼が島へ鬼せいばつに行こうと思います。」


と桃太郎はこたえました。


「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」


とおじいさんは言いました。





とても、あっさりとした会話です。


自分が大切に育ててきた子供が


「危険な場所に命懸けで行く!」


と言ったとき、私はおじいさんのように、いってらっしゃいと送り出す自信がありません。


悩みに悩んで、たくさん会話をして、いってらっしゃいと言えるかもしれません。


または、いろいろ考えた上で「やめておきなさい」と止めるかもしれません。





しかし、おじいさんは違います。


迷うことなく、桃太郎の言葉を受け入れて送り出したのです。





仏教の言葉に不立文字【ふりゅうもんじ】というものがあります。


文字で表すことができないという意味です。


お釈迦様の教えは人の心から心へと直接伝えられるもので、言語化できない。経典の文字は熟読すべきであるが、それだけに頼ってはならない。ということを伝えてくれている言葉です。





もう少し一般的な言葉にすると「以心伝心【いしんでんしん】」とも言い表せるかもしれません。


余計なことを言わなくても伝わっている、言葉の力を超えた世界を表現する教えです。


桃太郎の成長をしっかりと確認してきたおじいさんだからこそ


「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」


と答えることができたのです。


私はこの場面は、お互いのことを心から理解することの大切さを示してくれているように感じます。





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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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