昔話シリーズ 桃太郎 【4:おじいさんとおばあさんが桃太郎のめんどうをみる】

昔話シリーズ 桃太郎 【4:おじいさんとおばあさんが桃太郎のめんどうをみる】
皆さんご存じの通り、桃太郎のお話は
1.川に桃が流れてくる
2.お婆さんが桃に「あっちの水は辛いよ、こっちの水は甘いよ」と言う
3.桃から桃太郎が生まれる
4.おじいさんとおばあさんが桃太郎のめんどうをみる
5.桃太郎、鬼ヶ島へ
6.おじいさん、おばあさんがきびだんごを作る
7.きびだんごを欲しがる猿、犬、きじを仲間にする
8.船で鬼ヶ島へ出発
9.鬼ヶ島到着
10.鬼を退治して帰ってくる
となっています。
この桃太郎の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。
今回は 「4:おじいさんとおばあさんが桃太郎のめんどうをみる」 という場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。
桃太郎のお話は驚きの連続です。
まずは、大きな桃が流れてくる。
そして、その中から男の子が出てくる。
これだけでも驚くべき大事件なのですが、驚きは続きます。
それが、今回紹介をする場面です。
昔話にはこのように書かれています。
「まあまあ、わたしたちが、子供が一人ほしい、ほしいと言っていたものだから、きっと神さまがこの子をさずけて下さったにちがいない。」
おじいさんも、おばあさんも、うれしがって、こう言いました。
そこであわてておじいさんがお湯をわかすやら、おばあさんが道具をそろえるやら、大さわぎをして、赤ちゃんを抱き上げて、うぶ湯をつかわせました。
するといきなり、「うん。」と言いながら、赤ちゃんは抱いているおばあさんの手をはねのけました。
「おやおや、何という元気のいい子だろう。」
おじいさんとおばあさんは、こう言って顔を見合わせながら、おもしろそうに笑いました。
そして桃の中から生まれた子だというので、この子に桃太郎という名をつけました。
桃太郎が誕生した直後の様子です。
私は、おじいさんとおばあさんの姿に驚きました。
おじいさんもおばあさんも「なぜ?」という感情を持たずに、桃から生まれた男の子に対応しているのです。
私なら、「なぜ、桃から赤ちゃん?」と考えてしまいます。そして、生まれたばかりの子供の面倒を見るために必よな、お湯を沸かすなどの本当に必要な作業に手を付けられなくなってしまうと思います。
しかし、おじいさんとおばあさんは違います。
桃から男の子が生まれたことを受け入れ、今できることを精一杯しているのです。
仏教聖典に「毒矢のたとえ」という有名な話があります。
毒矢に射られた男がいた。
周囲の人達は医者を呼ぼうとしたが、男は「この矢は誰に射られたのか。また、弓は何で出来ているのか。それが分かるまで矢を抜くな。」と言った。
という話しです。 この話しは最後に
自分にとって何が第一の問題なのかを知って、自分の心を調えることが大切であることを説く教えです。
とあります。
桃太郎誕生の際に、このことを受け入れてお湯の準備をするおじいさんとおばあさんは、自分にとって何が第一の問題なのかを知って毒矢を抜くことができる人なのです。
つまり、心を調った状態にあるのです。
そのように考えると、桃太郎のめんどうを見る二人の姿たから
心を調えること、そして目の前のことをあるがままに受け止めることの大切さを教えてくれています。

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