昔話シリーズ 浦島太郎 【2:竜宮城へ】

昔話シリーズ 浦島太郎 【2:竜宮城へ】
皆さんご存じの通り、浦島太郎のお話は
1.浦島太郎が亀を助ける
2.助けた亀に竜宮城へ連れて行ってもらう
3.楽しい時間を過ごすが、時々もとの世界を思い出す
4.玉手箱をもらって帰る
5.もとの世界は長い時間が経っていることに気がつく
6.玉手箱を開ける
となっています。
この浦島太郎の話から、私達は様々なことを学ぶことができます。
今回は 「2.助けた亀に竜宮城へ連れて行ってもらう」 場面から何を学ぶことができるのかを紹介させていただきます。
いよいよ浦島太郎は助けた亀に竜宮城へ連れて行ってもらいます。
昔話の中で、竜宮城についてこのように書いてあります。
宝石の天井、さんごの柱、廊下には金がしきつめてありました。
こわごわその上を歩いて行きますと、どこからともなくいい匂いがして、たのしい音楽が聞こえてきました。やがて、水晶の壁に、いろいろな宝石をちりばめた大広間がありました。
その後、「こんどは四季の景色をお目にかけましょう」といって、まず、東の戸をおあけになりました。そこは春のけしきで、いちめん、ぼうっとかすんだなかに、さくらの花が、うつくしい絵のように咲き乱れていました。次に、南の戸をおあけになりました。そこは夏のけしきで・・・
竜宮城と言えば”豪華な場所”というイメージでしたが、改めて読んでみると
四季の景色が楽しめる部屋が描かれていることに驚きました。
しかし、ここにこそ大切な教えがあるのです。
東の戸を開けると春、南を開けると夏、西を開ければ秋、北を開ければ冬。
夢のような世界の話にも聞こえます。
しかし、よく考えれば私達が普段から出入りしているドアも、竜宮城とまったく同じ働きをしています。
春にドアを開ければ春、夏に開ければ夏・・・
当たり前です・・・
しかし、その当たり前が美しいのです。
ついつい忘れてしまいがちなのですが、春があり、夏があり、秋があり、冬がある。
景色は毎日変わり、同じものがない。
その変化が美しく、その姿が美しいことに気がつくことが大切なのだと、浦島太郎の話を教えてくれているのです。
そして、そのことに気がついたとき、
「宝石の天井、さんごの柱、廊下には金がしきつめてありました。」
という部分も
宝石の天井とは、いつも私達を空から見守ってくれているご先祖様や仏様であり、
さんごの柱とは、私達の心を支えてくれている大切な仲間であり、
廊下に敷き詰めた金は、私達の足元を支えてくれている大切な教えである。
と読むことができます。
竜宮城は美しく特別な場所のように描かれていますが、実は
特別な場所が大切なのではなく、“いつもの場所”こそが特別な場所であることきに気がつき、大切にしなくてはならない。
ということを教えてくれているのです。

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