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昔話シリーズ その29 竹取物語 【11:かぐや姫 羽衣】


この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。





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昔話シリーズ【29】 竹取物語 【11:かぐや姫 羽衣】



映画のドラえもんと普段のドラえもんの違いは放送時間だけではありません。
「オチ」が違うように感じます・・・



竹取物語・かぐや姫の話しから学ぶことをまとめています。

これまでに
1:仏の光明
2:切った竹から金
3:仏様が使った食器
4:蓬萊の玉の枝
5:火鼠の皮衣
6:龍の首の珠
7:燕の子安貝
8:帝にも嫁がない
9:月に帰りたがらないかぐや姫
10:かぐや姫 月に帰る


と、紹介してきました。
※クリックすると記事をご覧いただけます。




今回も竹取物語のクライマックスの部分です。



かぐや姫は月からのお迎えを受け入れて、月に帰ります。


その際に、月の使者に「羽衣【はごろも】」を付けられそうになります。


このとき「少し待ってほしい」と言って翁(おじいさん)と帝に手紙を書きます。





なぜ、そのようなことをしたのでしょうか。


実は羽衣をつけると人間の世界での出来事を全て忘れ、悩み苦しみことがなくなるのです。


かぐや姫これまでのことを忘れる前に手紙を書いたのです。





竹取物語・かぐや姫に登場する羽衣は私達に何を伝えようとしてくれているのでしょうか。


嫌なことやつらいことがあったとき、そのことを忘れることができれば楽になることは間違いありません。


嫌なことがあったときに


「早く忘れなさい!」


と励ましてくれる人もいます。


しかし忘れることは簡単ではありません。


だからこそ、多くの人がうらやましがるドラえもんの秘密道具のように、竹取物語に羽衣が登場しているのかもしれません。






ドラえもんの話を思い出してみてください。


何かに困ったのび太君はドラえもんに便利な秘密道具をお願いします。


一瞬は楽しい時間を過ごしますが、多くの場合秘密道具を頼りすぎて失敗をして話が終わります。


ハッピーエンドで終わるのは、秘密道具を駆使しながら誰かの為に一生懸命みんなが力を合わせる映画のときです。






秘密道具のように羽衣を頼れば、悩みや苦しみを忘れることができるかもしれません。しかし、同時に全てを忘れるのだから、同じような状況になったとき同じ行動をしてしまい、同じ苦しみを味わうことになります。


また苦しみを忘れてしまえば周囲の人達が苦しんでいることも理解できません。


周囲の人達の苦しみを理解することができなければ、映画のドラえもん達のように「誰かの為に一生懸命」もできません。


「誰かの為に一生懸命」ができなければ、映画のハッピーエンドではなく、普段の秘密道具を頼りすぎることで味わう失敗を実体験することになってしまうのです。





かぐや姫は羽衣をつけることで全てを忘れてしまうことの悲しさを、手紙を書くことによって教えてくれているように感じます。


そしてこのことは、つらい出来事について忘れることが大切なのではなく、そのつらい出来事を受け止めることが大切だと教えてくれているように感じます。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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