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昔話シリーズ その24 竹取物語 【6:龍の首の珠】

この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。





600仏教豆知識シール昔話シリーズ2 8


昔話シリーズ【24】 竹取物語 【6:龍の首の珠】



子供の頃、女性が「花畑に行ってきます」と言っていなくなったのが、実は「トイレに行ってきます」という意味だったことを後から知って驚いたことを覚えています・・・


今回の話はトイレの話ではありませんが、関係ないことでもありません・・・






竹取物語・かぐや姫の話しから学ぶことをまとめています。

これまでに
1:仏の光明
2:切った竹から金
3:仏様が使った食器
4:蓬萊の玉の枝
5:火鼠の皮衣
と、紹介してきました。
※クリックすると記事をご覧いただけます。




今回も、かぐや姫が結婚を申し込んできた男に突き付けた難問について紹介をします。


これまでに「仏様が使った食器」、「蓬萊の玉の枝」、「火鼠の皮衣」を紹介しましが、かぐや姫は結婚を申し込んできた別の男に「龍の首の珠」を要求しています。


龍の首の珠を持ってくるように言われた男は、自分の家に帰ると住み込みで働いている人たちに


「龍の首の珠を取りに行ってきてくれ」


と頼みます。頼まれた人達は男の頭がおかしくなってしまったと考え


「わかりました、取りに行ってきます。」


と答え、必要な道具やお金をもらって出ていきます。


出ていくのですが、実際には龍の首の珠を取りにいきませんでした。


男はいくら待っても誰も帰ってこないので、とうとう自分で龍を探しに行くことにしました。


「龍は海にいる」と言われ海へ出ていくのですが、そこで嵐に巻き込まれて死にそうになってしまいました。


男は龍の首の珠などを外に向かって探すからこうなってしまったのだと反省して家に帰ります。


そして、家に帰ってくると龍を探しに行ってくれた人達に


「龍を捕まえようとしなくてありがとう、捕まえようとしていたら皆の命がなかった」


と言って、家に残っていたお金や宝物などを皆に分け与えたそうです。





これまでかぐや姫に宝物を持ってくるように言われた男達とは結末が違います。


これまでは、


宝の要求 → 無理だから嘘をつく → 見破られる


という流れでした。しかし、今回は


宝の要求 → 挑戦する → 全てを失う


という流れです。




全てを失ってしまってこの男もかわいそうだと感じるかもしれません。


しかし、私は竹取物語の中でこの男が一番幸せだと思います。


この男こそ、本当の宝を手に入れたように感じます。


本当の宝とは「いのち」とも呼ばれる「尊い心」であり「仏様の心」や「悟り・仏心」などとも呼ばれます。




トイレの呼び方が


便所
厠(かわや)
レストルーム
WC・ウォーター クローゼット(water closet)
雪隠(せっちん)
手水(ちょうず)
ご不浄
東司(とうす)
花畑



と変わっても同じものを示すように


本当の宝も様々な呼ばれ方をします。「龍の首の珠」も同じものです。



男は実際に龍を探すことで苦行にも似た体験をしました。


この体験で本当に大切なものは何かを知ったからこそ、周囲の人達が生きていてくれることを喜び、自分の持っているものを全て差し出すことができたのです。


一見すると、哀れな男にも見えますが、私には「財産や宝といった”もの”」を手放した姿は「悩みや苦しみ」を手放した姿にも見えます。


モノにあふれた世界に生きながら不平不満を言っている私達は、この男の姿から本当に大切なものとは何かを学ばなければなりません。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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