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昔話シリーズ その17 一寸法師の鬼退治

この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。





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昔話シリーズ【17】 一寸法師の鬼退治





幼いころに読んだ手塚治虫の火の鳥という漫画の中で、人間にしか見えないロボットの顔がパカッと開くと中に小さな人間がいて、ロボットを操縦していたというシーンがありました。

その漫画を読んでから、しばらく周囲の人の中にロボットがいて中に小さな人がいるのではないかと本気で考えてしまった時期がありました。




一寸法師の話として有名な部分は


鬼が約3cmしかない小さな一寸法師を飲み込むが、一寸法師は体の小ささを生かして、鬼の外の中を突いて外に出てくる。鬼は一寸法師を怖がって、持っていた打出の小槌を置いて逃げていく。


という場面ではないでしょうか。


さらに、一寸法師は川を下るために船ではなく茶碗に乗り、刀ではなく針を持ったりする場面も有名です。


このお話は「体が小さくても、がんばれば夢をかなえることができる」ということを教えてくれているのでしょうか。


私は少し異なる考えでこの物語を読んでしまいます。





・一寸法師が小さいこと

・鬼を体の中からやっつける

・一寸法師が最後に大きくなる



この3つの要素が大切だと感じています。




白隠禅師坐禅和讃の中に「衆生本来 仏なり」とあります。


これは、生きとし生けるもの全てに仏様のような尊い心があると説いてくれている教えです。


つまり、私達の中には「仏様のような心」が存在すると言ってくれているのです。




このことを考えると一寸法師の話に登場する


・鬼は日常生活を送っている私達

・一寸法師は私達の中にある「仏様のような心」


と捉えることができます。



日常生活を送る私達と言っても、私達の全てが鬼と言うわけではありません。しかし、日常生活を送る中で知らず知らずのうちに悪いことをしてしまったり、煩悩をそのままにしてしまったりしています。


この煩悩をどうしたらやっつけられるのでしょうか。


外から誰かに取り去ってもらえるでしょうか。


やはり、自分で取り払わなくてはいけません。





一寸法師は鬼を体の中からやっつけます。


これは、まさに私達が自分の中にある「仏様のような心」で自分自身の煩悩を取り去ることの大切さを教えてくれています。






私達は、物語を読むときに登場人物の誰かに自分を当てはめて読むことがあります。


しかし、自分を一寸法師だけ・鬼だけ・お姫様だけに当てはめてしまうことはもったいないことです。


一寸法師も自分、鬼も自分、お姫様も自分と感じて物語を味わってみると感じることも違ってくるかもしれません。


※「一寸法師が最後に大きくなる」については次の記事で紹介します。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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