「絵」葉書 【十方に通貫す】令和3年2月
東光寺【静岡市清水区横砂】の写経会では毎月絵葉書を配布しています。
これまでは私が撮影した写真に文字を合成して印刷をしてきましたが、今回からしばらくは「絵」葉書にしようと思います。
「絵」はこれまで子供坐禅会で配布する仏教豆知識シールなどの絵を担当してきた妻に書いてもらいました。

今回の絵はタケノコ堀をしているときに感じたときの様子を描いてもらいました。
タケノコを掘っていると根にぶつかることがあります。
初めてタケノコの根まで掘ったとき、この根がどこまで続いているのか興味がわいて周囲を掘ったことがあります。
もちろん、終わりが見えないのですぐに止めてしまいました。
調べてみると竹の根は縦横無尽に根がはりめぐらされていることを知りました。
そしてその根には、まだ芽を出していない小さなタケノコや去年の春に大きく成長して立派になった竹、すでに立ち枯れてしまっている古い竹がつながっていることを知ったとき大きな感動を覚えました。
竹はそれぞれの竹が独立した存在ではなく目に見えない部分ですべてがつながっていたのです。
禅の言葉に
十方に通貫す
という言葉があります。
すべての場所を貫いていること。あまねく広がっていることを示す言葉で、臨済録という中国唐代の禅僧で臨済宗開祖の臨済義玄の言行をまとめた語録に出てくる言葉です。
法とは心である。
心は形なくして十方世界を貫き、目の前に生き生きとはたらいている。
とあるのです。
竹の根は、新しいタケノコだけでなく、大きく成長した竹やすでに枯れた竹ともつながっているように、
私達の心も、生きている場所や年齢など関係なく見えない部分でしっかりと結びついており、心が調うことで目には見えないつながりを実感することができるのです。
竹やタケノコを目にした際に、少しだけでも
十方に通貫す、心は形なくして十方世界を貫き、目の前に生き生きとはたらいている。
という言葉を思い出していただければ幸いです。
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