オンライン坐禅会での法話【生活信条を因数分解 その1】
臨済宗青年僧の会ではオンライン坐禅会を実施しています。私も時々ですが坐禅を担当させていただいています。
その際に話した内容を備忘録として記しておこうと考えています。
オンライン坐禅会には一般の方向けの会と子供向けの会があります。
今回は一般向けの坐禅会で話したものを紹介させていただきます。
文字にすると長くなってしまうので2つの話しに分けさせていただきます。
1つ目は「生活信条を因数分解してみた」という話し。
2つ目は「自分の考えか、他人のアドバイス、どっちが大切?」という話しです。
この記事では【生活信条を因数分解してみた】を紹介します。
臨済宗妙心寺派には生活信条という普段の生活で心にとめておく教えがあります。
その中に

人間の尊さにめざめ 自分の生活も他人の生活も大切にしましょう
という教えがあるのです。
一見すると分かりやすく、そして救われる言葉でもあります。
普段、自己肯定感が高くないために、自分を大切にすることに抵抗がある人には
「あ、自分を大切にしてもいいんだ!」
と感じることができる教えですし、
他人の御恩を感じることができず一人よがりになってしまっている人には、他人を大切にすることの大切さを伝えてくれています。

では、「自分の生活も他人の生活も 大切にしましょう」とはどういうことでしょうか。
私達は普段の生活で「自分」のことばかりを考えて「自分」が大きくなったり、逆に「自分」を犠牲にするあまり「他人」が大きくなりすぎたりしてしまいます。
では、「自分」と「他人」の釣り合いを保つことが正解なのでしょうか。
私はそうは思いません。
私はこの生活信条の中の「自分の生活も他人の生活も大切に」こそが答えだと思います。
例えば
A ×5+B ×5
という式があったら
=(A+B)×5

と書き換えることができます。
これと同じように
自分の生活も他人の生活も 大切にしましょう
は
(自分+他人) × 生活を大切にしましょう

と書き換えることができると私は思います。
A+Bは AでもなければBでもありません。
同じように(自分+他人)は自分ではありませんし、他人でもありません。
では(自分+他人)とは何でしょう。
それは、“自分”でもなければ“他人”でもないものですので、
自分と他人といったように区別をしなくなった人のことを言うのだと考えています。
また、自分にも他人にも共通して必ず存在しているものがあると仏教で説いています
これにあえて名前をつけようとすると
「仏様のような心」「仏の心」「仏心」「悟り」「こだわりのない心」「比べない心」
などと表現されます。
つまり、
(自分+他人)=仏の心
だと言えるのです。

そのように考えますと生活信条の
人間の尊さにめざめ 自分の生活も他人の生活も大切にしましょう
は
人間の尊さにめざめ 誰の中にもある仏の心を 大切に生活しましょう
と言い換えることができると思うのです。

この話の続きであり、2つ目の話し「自分の考えか、他人のアドバイス、どっちが大切?」は後日紹介させていただきます。
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