昔話シリーズ その9 猫のおかみさん

昔話シリーズ【9】 猫のおかみさん
昔話に出てくる「猫」と言うと「化け猫」を思い出す方もいるかもしれません。
しかし、今回の話しは違います。
相手のことを思いやる猫が登場する話です。
話しは以下の通りです。
昔、ある所に貧しいが働き者の農家の男が1人で暮らしていました。
畑の仕事を終えて家に帰ると、家の前にお腹を空かした一匹の猫がいました。
男は猫がかわいそうになり、貧しいのですが自分の食事を分けてあげました。
猫は大変に喜び、男はそのお腹を空かした猫をかわいそうだと感じ、飼うことにしました。
ある日、男が畑に行く前に猫に向かって
「あ~あ、俺がいない間にお前が石臼を使って仕事を手伝ってくれればなぁ。」
と言ったのです。
男がその日も畑での作業終えて帰宅すると誰もいない家の中からゴロゴロと音がします。なんと猫が一生懸命に石臼を使って仕事をしていたのです。
男は大変に喜び、猫と益々仲良くなりました。
そんなある日、猫が男にしゃべりかけました。
「私は人間の姿になれば、もっとお手伝いできることが増えてきます。どうか、私にお伊勢参りをさせてください。」
と頼み、必要なものを準備してもらい、お伊勢参りに行ったのです。
しばらくすると、なんと猫は人間の女性になって帰ってきました。
人間になった猫はこれまで以上に男の為に働き、男は猫の為に働くようになりました。
という話しです。
この話の大切なところは、猫が姿を変えて恩返しをするところだと私は思います。
相手のことを想う姿は仏の心を表しており、
猫が人間になって幸せに 生きていく姿は、私達も様々な姿に変わることができ、仏にもなることができることを教えてくれているように感じます。

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