昔話シリーズ その3 鶴の恩返し
この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われてみんなの坐禅会(子供坐禅会)で私が話した内容をまとめたものです。
昔話シリーズ【3】 鶴の恩返し

鶴の恩返しは大変有名な話しですので、ご存知の方が多いと思います。
しかし、一応あらすじを確認します。
ある日、心の優しいおじいさんが猟師の罠にかかって苦しんでいる鶴を見つけ助けます。
するとその夜、おじいさんの家に旅の途中で道に迷ったと言ってかわいい娘がやって来ます。
お爺さんとお婆さんは困っている娘を泊めることにしました。
聞くと娘は、これからどこにも行く宛がないというので、それならわしらと一緒に暮らそうと言うことになりました。
翌朝、娘は機織り部屋に入り、しばらくするととても美しい布を織っておじいさんに渡しました。
おじいさんはこれを町で高い値段で売ってお米や味噌を買うことができました。
その晩もその次の晩も娘は布を織りました。
娘は布を織る間は覗かないでくれというのですが、おじいさんはついに部屋をのぞいてしまうのです。
するとそこには一羽の鶴が自分の体から羽を抜いて布に織り込んでいたのです。
娘はのぞかれていることに気がつくと、
「命を助けていただいた恩返しに来ましたが、もうお別れです」
と言って、空へ飛び立っていってしまったのです。
というお話です。
この鶴の恩返しは、
心の優しいおじいさんの、迷いなく鶴を助ける心の大切さと、恩を必死になって返そうとする姿の美しさを教えてくれているように感じます。
しかし、それだけではありません。
仏教では私達は「生まれ変わり死に変わる」という考え方をします。
その世界は人間界や天界、地獄など6つあると言われています。
そしてこの6つの世界を私達は生まれ変わり死に変わるのです。
しかし、これは肉体の死を言っているわけではありません。
心が生まれ変わり死に変わるのです。
この瞬間も地獄へ行ったり、天界へ行ったりと瞬時に変化をしています。
鶴の恩返しでは、おじいさんが部屋をのぞいてしまうという行為で
どんなに素直な心を持ち、困っている動物すら助けるおじいさんの心でも、油断をすると「いけない」と言われていたことをしてしまう
ということを示してくれているのです。

仏教では、このような生まれ変わり死に変わる世界から脱却を目指します。
その為のひとつの方法が坐禅です。
坐禅をすることで、生まれ変わり死に変わる世界から少しでも離れているように感じていただきたいと願っています。
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