変化した給食の食べ方
このような状態を見ると
「給食はおしゃべりしながら食べたほうが楽しいのに、子供がかわいそうだ」
と思う方もいるかもしれません。
そんな思いを和らげようと考えたのか、娘が通う小学校の献立の一部に、このような言葉がありました。

よくかむこと
ウィルス感染防止のため、教室では前を向いておしゃべりしないで給食を食べるように指導がされています。少し寂しい気がするかもしれませんが、実は、食べることに集中して、静かによくかんで食べると、食材や調味料の味がとてもわかるようになります。
また、あごもよく動かすので唾液が出て消化を助け、頭の働きもよくなります。お家でもよくかんで食べましよう。
とても大切なことが書いてあるように感じます。
仏教には食事前に読むお経がいくつかあります。
その中の1つに食事五観文【しょくじごかんもん】があります。
食事五観文は「食事の五つの誓い」とも言われ、昔ながらの言葉使いで
一つには、功の多少を計り彼の来所を量る
二つには、己が徳業の全欠をはかって供に応ず
三つには、心を防ぎ過貧等を離るるを宗とす
四つには、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり
五つには、道業を成ぜんが為に、将にこの食をうくべし
とお唱えします。難しい漢字が多いのでひらがなで表現すると
ひとつには こうのたしょうをはかり かのらいしょをはかる
ふたつには おのれがとくぎょうの ぜんけつをはかって くにおうず
みつには しんをふせぎ とがとんとうをはなれるを しゅうとす
よつには まさにりょうやくをこととするは ぎょうこをりょうぜんがためなり
いつつには どうぎょうを じょうぜんがために まさに このじきを うくべし
となります。現代の言葉にすると
一つ、すべてのものに感謝してこの食事をいただきます
二つ、自分の日々の行いを反省してこの食事をいただきます
三つ、欲張ったり残したりしないでこの食事をいただきます
四つ、体と心の健康のためにこの食事をいただきます
五つ、みんなが幸せになるためにこの食事をいただきます
食事も大切な修行の場であると考える仏教では、食事の前に改めて大切な教えを思い出すためにこのお経をお唱えします。
そして、一切話をすることなく、音を立てることもなく食事をします。
これは、お話をしてはいけないということではありません。
食事五観文をお唱えしたとき、その内容を実践しながら食事をいただこうと考えると、とてもしゃべりながら食事などできないのです。
ただ、ひたむきに目の前の食事と向き合わなくてはいられないのです。
そして、ひたむきに食事と向き合うことの素晴らしを現代では、
食べることに集中して、静かによくかんで食べると、食材や調味料の味がとてもわかるようになります。また、あごもよく動かすので唾液が出て消化を助け、頭の働きもよくなります。
と表現しています。
給食中のおしゃべりが禁止されている今の状況を“かわいそう”と感じるより、“修行ができると”と感じた方が子供達の成長につながるように感じます。
- 関連記事