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水のような子供と、氷のような私

私は最近、臨済宗青年僧の会が主催するオンライン坐禅会で子供坐禅会を担当させていただいています。
※オンライン坐禅会についてはこちらをご覧ください。


そこで、自分の未熟さを痛感させられるできごとがありました。



私はオンラインでの子供坐禅会でも、坐禅の合間に仏教に関する話をします。



この日は



600無心1

「無心」という言葉について話をしました。



以前にもこのブログで記事にしたことがありますが、

無心と聞くと




600無心2

心が無い・心を無くすことが“無心”だと思いがちです。





600無心3

ですから、無心を英語で表現しようとすると「ナッシング マインド」としたくなります。





600無心4

しかし、そうではなく





600無心5

「フーマインド」
と、福島慶道老師は示されたのです。





600無心6

と、言うことは無心とは心が無いのではく、自由自在な心となるのです。





坐禅会でお唱えする白隠禅師坐禅和讃では自由自在な心を「水」と表現しています。




どんな器にも入ることができる水が自由自在な心であり、水が冷えて固まった氷は自由自在な心ではなくなっている。

しかし、氷は溶けて水になるように、今は固まって動かない状態の私達の心も自由自在な心になることができる。





このような話しをさせていただきました。


こんな話をした日の最後に事件は起きたのです。


私が最後の挨拶をして、退出(画面を消す)しようとしたときに参加してくれていた子供の弟さんが登場したのです。



オンライン坐禅会は各家庭とお寺を繋いで開催していますので途中で小さい子供やペットが入り込んでくることは珍しいことではありません。


しかし、その男の子は大変珍しい行動に出たのです。


私が挨拶をしているときから、手をパンパンと叩き一生懸命に頭を下げているのです。しかも1回だけではありません。何回も何回も繰り返すのです。



その姿を見たとき、「あ~、これが自由自在な心そのものだ」と感じました。


仏教では手を叩いてお参りすることはほとんどありません。神社でのお参りを仕方だと思います。



ここからは私の想像ですが、男の子の中には


「画面の向こうに手を合わせているお坊さんがいる。よし、僕も手を合わせよう」


となったのだと思います。


そして、男の子は迷うことなく、これまでの彼の人生の中で見て覚えたのか、誰かに教わったのか分かりませんが、できるだけ丁寧な合掌をしてくれたのだと思います。



「誰かに見られていると恥ずかしい」や、「やり方は正しいのか?」と言ったこだわりの無い、ただ一生懸命手を合わせようとする姿がそこにあったのです。



しかし、私は「あ~、これが自由自在な心そのものだ。ぜひ、声をかけたい」と感じたにも関わらず、同時に「終了の挨拶もしているし、今まで個別に声をかけたこともなかった。」などと様々な感情が出てきてしまいました。



そのため、何も声を出すことなく画面を消してしまったのです・・・


散々「無心と言うのはフリーマインド・自由自在な心」と紹介しておいて、自分の心が様々な感情に支配されている氷の状態だったと思い知らされ、まず、自分の心を調えていかなくてはならないと反省した出来事でした・・・

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Re: No title

コメント、そしていつも坐禅に参加してくださりありがとうございます。
子供坐禅会は子供達の学校が再開したら終了と考えています。
しかし、朝の坐禅会を希望してくださる方もいらっしゃるようです。
そこで、6月以降も朝の坐禅会はできるだけ継続できるようにしていきたいと考えています。
出勤前の方でも参加しやすいように時間はこれまでの子供坐禅会よりも早くしての開催を考えていますので、開催できたときにはぜひご参加いただきたいと考えています。

予定は決定次第、臨済宗青年僧の会のホームページに掲載させていただきます。

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Re: No title

いつもオンライン坐禅会に御参加いただきありがとうございます。
事務局でも検討させていただいたところ、大変申し訳ございませんがレコーディングを許可することができません。
理由としましては、zoomの機能を使って録画をしようとすると、他の参加者が写り込んでしまう可能性を否定することができないからです。
御希望にお応えすることができず申し訳ございませんが、御理解いただければ幸いです。また画面上でお会いできるのを楽しみにしております。

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Re: No title

ご指摘いただいた通り、zoomでは録画をしようとすると様々な画面を録画することができます。もちろん話しをしている僧侶だけを録画することもできます。しかし、逆にミュートになっている方だけを録画することもできてしまうため、録画したいと思っていただけることは大変光栄なことなのですが、臨済宗青年僧の会として“正式には”認めることができないのです。
御希望に沿えず申し訳ございませんがご理解いただけますと幸いです。

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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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