「自分さえよければ」という気持ち片隅に置いおく

アルピニストの野口健氏が
「コロナよりも怖いのは人間だった」。ドラッグストアの店員が語る恐怖の体験
というドラックストアで働く女性が、マスクやトイレットペーパーの売り切れを責められ続けて辛いと告白した記事に対して
店員の悲痛な叫びに心が痛む。いつも笑顔だったお客さんが鬼に見えると。我先にトイレットペーパーをかき集める人々の姿。東北の避難所では限られた救援物資を皆で分け与えていたあの光景とあまりにもかけ離れる。「自分さえよければ」という気持ち片隅に置けないものだろうか
とコメントされていました。
私は
「自分さえよければ」という気持ち片隅に置けないものだろうか
という言葉に野口氏の深い人間性を感じます。
以前、尊敬する和尚様が一般の方に坐禅について説明をしているときに
坐禅をすると煩悩を無くせると言う人がいますが、そんなはずはありません。
姿勢を正して、呼吸に集中しても様々なことが頭に思い浮かんでくるものです。
煩悩を無くせるということは、頭に何も思い浮かべなくなることです。しかしそんなことはできません。
ですから坐禅は次々に湧き上がってくる様々な感情をいったん隅に置いておくことを目指すのです。
部屋の片づけをしているときに荷物が届いたらどうしますか。荷物を開けてしまえば片付けはできません。いったん隅に置いておいて片付けをしますよね。片付けが終わった後にじっくり荷物を見ればいい。
同じように坐禅をしているときに様々なことが思い浮かびます。しかしその感情を無くそうとするのではなく、フタを開けずに姿勢と呼吸を調えることに集中することが大切です。姿勢と呼吸が調えば自然と心も調ってきます。これが坐禅です。
と説明をされていました。
煩悩を無くそうとするのではなく置いておくとの説明は、煩悩を認め 煩悩を受け入れ 煩悩とひとつになることを見事に表しており、野口氏が言った“「自分さえよければ」という気持ち片隅に置けないものだろうか”も同じことを言っているように感じます。
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