もっと迷惑をかけて欲しかった

20代の女性が
「おばあちゃんはいつも“迷惑をかけたくない、迷惑をかけたくない”って言っていたけど、私はもっと迷惑をかけて欲しかったよ。」
とても印象に残っている葬儀でのお別れの言葉です。
迷惑と言う言葉を辞書で調べると
【迷惑】
他人のことで、煩わしくいやな目にあうこと
と書いてあります。
以前もこのブログで「迷惑」という言葉を紹介させていただきました。
※当時の記事はこちらです。
仏教での迷惑は
単に「迷」ともいう。「悟」の対語で、真実の智慧がなく、道理に反したことに妄執することをいう。
中国・日本では,「迷」はものごとの道理をあやまり、「惑」は道理に明らかでないことと解釈されることもある。なお、漢語の本来の意味は、道にまよう、心が暗くまどっている、人をまどわすなどの意で、中国古典に多くの用例が見られる。
【仏教語辞典より】
「もっと迷惑をかけて欲しかった」
という言葉は本心から出てくる女性と、その女性を想い迷惑をかけないようにと尽くした祖母の関係性というものは本当に素晴らしいものです。
互いが互いのことを想う気持ちは、互いが互いのことを照らす灯りのようなものです。
心が暗くまどっている状態を迷惑だと仏教語辞典にはありますが、その暗闇を照らす灯りは遠くにあるのではなく、誰かのことを想うことができる人の中にこそあることを実感させていただいたできごとでした。
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