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お前の頭を叩くと ポコポコ という音がする

600木魚とポコ



小学校に入学したときクラスメイトにあだ名をつけられた。


“ポコ”というあだ名だ。


「お前の家はお寺だろ、だったら頭を叩いたら木魚みたいにポコポコって音がするんだろ!」


そんなことを言いながら私の頭を同級生が叩いたのだ。


1人が叩けば、堰を切ったように多くの同級生が私の頭をポコポコと言いながら叩いた。


今になって考えれば、あきらかないじめだ。


しかし、この出来事で私のあだ名は決定した。


うれしいあだ名であるはずがない。


6歳の時に付けられたあだ名は今でも使われている・・・


幼い頃はこのあだ名で呼ばれるたびに嫌な気持ちになったり、クラスメイト喧嘩をしたりしていた。


喧嘩をすれば、相手はさらに悪口を言ってくる。


何を言われたか全てを覚えているわけではないが、いろいろ言われた中で“お前の家はお寺だから・・・”という悪口が多かったのはよく覚えている。


子供が“お寺”の悪口を突然言うことは考えられない。


大人がお寺の悪口を言っており、その悪口を聞いている子供が私に攻撃をしかけてきたのだ。このようなことを経験し、幼い私は


「“お寺”という場所が人に負の感情を与えている。」だからこのような仕打ちを受けるのだと感じた。


それ以来、お寺で生活をしていることが嫌で嫌で仕方がなかった。


狭い町内にある小学校では学年全員が知人だ。


私がお寺で生活をしていることを知らない者などいなかった。


だからクラス替えをしてもあだ名が変わることはなく“ポコ”と呼ばれ続けた。






ポコと呼ばれることが嫌でなくなったときがあった。


小学校5年生のときに担任の先生「ポコ」と呼ばれたときである。


新年度が始まり、新しく担任になったその先生はあだ名の由来を知らず、クラスメイトが当たり前のよう私のことをポコと呼んでいるので親しみをこめて「ポコ!」と呼んだのだ。


先生にまであだ名で呼ばれるなんて衝撃だった。


しかし、この先生のおかげで私は変わった。


先生は勉強だけでなく、心を育てることの大切さを教えてくれた。


そして、口癖のように


「私はお寺ってすごい場所だと思っている。」


と言っていた。時には東光寺の住職である祖父に講師の依頼をし、講演会も開いてくれた。


様々なやり方で、心を育てるのにお寺は非常に大切な場所だと教えてくれた。


私は初めてお寺の良さを知ることができた。


すると“ポコ”と呼ばれることも嫌ではなくなった。


むしろうれしくなった。






あれから30年が経とうとしている。


今でもお寺や僧侶の悪口を言う人はいる。


残念なお寺や僧侶も存在する。


しかしあの時、私はお寺や・仏教の教えの大切さを知ることができたからこそ、今でも学び続けることができている。


そして、その教えを実践し続けようと心がけている。


だからこそ、今でも私のことを「ポコ」と呼んでくれる人のことをありがたいと感じている。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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