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絵葉書法話33 【放下著】

600写経会 絵葉書 33 放下著


捨て去った姿は力強い




木の葉は光合成をして作り出した栄養分を木の幹に送るだけでなく、最後は自分自身をも分解した栄養分も幹に送り散っていく。だからこそ葉が落ちた木々は、あっという間に葉を生い茂るための底知れぬ力を秘めた力強い姿にも見える。
絵葉書【33】放下著










葉っぱが枯れ、木から落ちていく瞬間を「死」と例えることがあります。


葉っぱは枯れるまで、光りを受けて必要な養分を作り出す「光合成」を行っています。


光 + 水 → エネルギー(養分) + 二酸化炭素


ここで生み出されたエネルギー(養分)は葉っぱの成長のためだけでなく木の幹に運ばれ、木全体の成長にも使われます。


さらに葉は枯れていく段階で自分自身をも分解し、その栄養分すら木に送り込み散っていくのです。


葉っぱ自身が作った養分を「母」や「御先祖様」とも言える「木」に返すのです。






禅の言葉に 放下著【ほうげじゃく】という言葉があります。



煩悩妄想だけでなく 仏や悟りまでも捨て去り すべての執着を捨て去る


ことを説く言葉です。





一生懸命に何かに打ち込んだとしても、そこで得たものにこだわってはいけないと言うのです。


写真は東光寺本堂の前の冬の菩提樹です。


春から秋にかけて生い茂った葉は全て落ちています。


この葉のない菩提樹の状態を見て「さみしい」と感じるかもしれません。


しかし見かたを変えれば、直前まで生き抜いた葉が作り出した養分を蓄え、春になり新芽が噴き出し、あっという間に葉を生い茂るための底知れぬ力を秘めた力強い姿にも見えます。


私も自分が一生懸命取り組んできたものを「捨てなさい」と言われると「もったいない」と感じてしまいます・・・


しかし、捨て去らなくてはいけないのです。


木も葉がもったいないとため込んでしまったら、新しい葉が生えてくることができず十分な光合成を行うことができません。捨て去るからこそ新たな力を得て前に進むことができるのです。


同様に、煩悩だけでなく自分が積んだと感じている功徳を捨て去ることができたとき、全ての葉を失ってもあっという間に葉を生い茂るための底知れぬ力を秘めたような力強い生き方を見出すことができるのではないでしょうか。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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