絵葉書法話 39 【中道】

お釈迦様は「琴は弦を締め過ぎても緩めすぎてもよい音色は出ない。程よく弦の張られた琴が心地よい音色をかもし出す」と、右にも左にも偏らない「中道」の教えを説かれました。
ほどほどに弦を張っても音は出ないので、中道も“ほどほど”と勘違いしてはいけない。
数多くあるお経の中から、教えの大切な要素と例え話を選び、それらを日常のやさしいことばにかえて表現した仏教聖典の中にこのような教えがあります。
道を修めるものとして、避けなければならない二つの偏った生活がある。
その一は、欲に負けて、欲にふける卑しい生活であり、その二は、いたずらに自分の心身を責める苦行の生活である。
この二つの偏った生活を離れて、心眼を開き、智慧を進め、さとりに導く中道の生活がある。
この教えを知ったとき
「だったら苦行なんてしなくていいんだ!! 嫌なことはしなくていいんだ!!」
と感じたことを覚えています。しかし、そうではありません。
一生懸命修行することも大切、力を抜くことも大切。あくまでもどちらかだけに偏ってはいけないのです。
仏教には右にも左にも偏らない「中道」の教えがあります。
しかし、中道は“ほどほどにがんばる”ことを意味しているわけではありません・・・
ほどほどに弦を張った楽器からは良い音など出るはずがないのですから・・・

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