絵葉書法話 55 【牛が水を飲めば乳となり 蛇が水を飲めば毒となる】

牛が水を飲めば乳となり 蛇が水を飲めば毒となる
写真の苔【こけ】はなんと世界遺産の苔寺の苔・・・
ではなく、苔寺の道路をはさんだ向かいの壁にあった苔です。
この苔は「私は世界遺産よ!」と偉そうにすることもなく
ただ、そこに根付き、ただ一生懸命 生きている。
そんな姿に私が勝手に感動したのです。
仏教の教えを表した言葉に
牛が水を飲めば乳となり 蛇が水を飲めば毒となる
という言葉があります。同じ「水」を
命を生かす乳とするのか 命を奪う毒とするのか。
どのように私達の心を生かすのかを説いてくださっている言葉ともとらえることができます。また、
子供を守り育てる乳となり未来を生み出すのか 自分自身を守る毒となり未来を生み出すのか
と、与えられた「水」を生かし切ることの大切さを説いてくださっています。
写真の苔は世界遺産の苔ではありません。数m先に生息していれば世界遺産となっていた苔です。
しかし、苔は世界遺産という肩書など必要としていません。
ただ与えられた場所で命を生かし切っています。
もちろん、世界遺産の苔寺の苔も世界遺産という肩書など関係なく与えられた場所で命を生かし切っています。
その姿はまさに菩提【ぼだい】です。
般若心経というお経の最後の部分に菩提【ぼだい】という言葉があります
お経の中では「ぼーじー」と唱えますが菩提には
一切の煩悩から解放された迷いのない状態
という意味があります。
世界遺産の苔も、数m離れた苔も精一杯に命を生かし切っている姿を見たとき、場所や肩書にしばられていきている自分を反省し、そういった「こだわり」を捨てることで自分の心を活かしきることができるように感じました。

菩提【ぼだい】
一切の煩悩から解放された迷いのない状態
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