絵葉書法話 63 朝の合掌に今日も生きぬく願いを

立ち止まることは悪いことではない
人間は心が調ったとき、自分にも他人にも優しくなれる。
この優しくも尊い心は 立ち止まった瞬間などにふと現れる。
立ち止まることは悪いことではない、朝は合掌し、昼に汗を拭き、夜は一日を振り返る。
その瞬間・瞬間、心がすでに調っている。
朝の合掌に今日も生きぬく願いを 昼の汗に生きているよろこびを 夜の反省に生かされている感謝を
いつも車で走っている道を自転車で通過すると車のときよりも景色が良く見える。
今まで気がつかなかった細かな景色を知ることができて、少し得をした気分になる。
速度が遅いから景色が良く見えるのか!??
なぜ自転車なら気が付けるのかを考えていたら、新しい景色を発見するたびに足を止め写真を撮ろうとしている自分に気がついた。
車社会の地元では車の通行量は増える一方だが、徒歩や自転車での移動は減るばかり。
車で一時停止をして写真撮影しようものなら大迷惑だが、自転車なら止まっても問題は起こらない。
私達の普段の生活も同じように感じる。
車社会へと劇的な変化をすると同時に、私たちの生活も立ち止まることを許さないような社会になっている。
しかし、それは私達がそのように勘違いをしているだけで実生活の中で ふと足を止める時間があっても自動車も自転車も走っていない心の中では誰かに迷惑をかけることなどない。
朝のお参り、昼間に汗を拭く、夜は一日を振り返る。
そんなわずかな時間でも私達は心を調えることができる。
この点のような時間を持つことで、点と点が繋がって線になるように、心調う時間を長く感じるようになる。
立ち止まることで知ることができる世界があり、感じることができる心がある。
立ち止まることは悪いことではない。

朝念観世音 暮念観世音【ちょうねんかんぜおん ぼねんかぜおん】
朝も夕も観音さまの心、私達の本心である仏さまの心を呼び覚まして、身近かな人に親切に思いやりをもって接してゆこうということです。
「祈りの延命十句観音経 横田南嶺老師著」より
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