絵葉書法話 64 一期一会【いちごいちえ】

今 できることを精一杯
タケノコを掘るために山に入ったとき、私はいかに効率よく掘れるかばかり考える。
しかし子供達は効率化など何も考えず、無我夢中になって1本のタケノコを楽しそうに掘り続ける。
惜しまずにかけた労力が思い出をより深くする。
私にとってタケノコは敵に近いのかもしれない。
タケノコを倒さねば竹になり、山が荒れる。
タケノコを倒す労力と竹を1本倒し処理する労力は比べ物にならない。
だから、タケノコを見れば“収穫する”のではなく、“倒す”と感じながら作業をしてしまっています。
タケノコの時期になると娘や友人も一緒に山の整備をします。
子供達がタケノコを見つけると、表情を明るくし「あ、あった!!あった!!!」と飛び上がりながら全身で喜びを表現します。
そして、丁寧に傷つけないように信じられないほど時間をかけて掘っていきます。
しかも、どんなに時間をかけても嫌な顔をせず 緩めた表情のまま楽しそうに掘り続けます。
家に帰れば家族にどのように掘ったのかを 事細かく話します。
私は「よくそんなところまで覚えているものだ」と驚きながら話を聞いていますが、同時に
「このタケノコとの関わり方こそが、一期一会の関わり方なのだ。」
と感じます。
それが自然にできている子供達の姿を見ながら、竹を敵とみなして作業をする自分自身の情けない姿を反省するのです。

一期一会【いちごいちえ】
今、この時の出会いは再び回って来ない。一生涯、ただ一度限りの出会いであるゆえ、一回一回の出会いを大切に命がけで臨まなければならない。
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