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印象的な言葉 【近くで見守ってください】

5002【葬儀】龕前念誦




お葬式では故人に対して弔辞やお別れの言葉を話すことは珍しいことではありません。


亡くなってしまった方に語り掛ける言葉に心打たれます。






あるお葬式に参列したとき、故人のお孫さん数人が前に出て一言ずつお別れの言葉を話し始めました。




「おばあちゃん、今まで面倒見てくれてありがとう。天国から私達のことを見守っていてください。」

「天国でおじいちゃんとゆっくり過ごしてください。」

「向こうの世界でも、人見知りをしない性格で友達をたくさん作ってね。」



そのような言葉が続きます。そんな中、1人のお孫さんが


「おばあちゃん、今までありがとう。これからも近くで見守っていてください。」


と言ったのです。





極楽、あの世、天国、地獄、空の上、星、お別れの言葉の中で様々な行き先を聞いてきましたが“近くで”と表現した方は初めてでした。





この言葉を聞いたとき、一休さんと親しまれている室町時代の禅僧・一休禅師の



死にはせぬ

どこへも行かぬ ここに居る

たづねはするな ものは云わぬぞ




という詩を思い出しました。






私はお孫さんの“近くで”という表現は素晴らしいものだと感じます。


亡くなった方は、どこか遠くの手の届かない世界に行ってしまうのではありません。


私達の心に生き続けているのです。


ですから、亡くなった方が旅立たれる極楽もあの世も天国も地獄も全て私達の心の中にあるのです。





で、あるのならば「これからも近くで見守っていてください」という言葉はとても的確で分かりやすい言葉だと感じました。

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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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