キャベツと予定を選んではいけない その1

スーパーへ買い物に行き、キャベツを買うときに「どっちがいいかな!?」と選んでいませんか?
そこで、選ばずに手に取ったキャベツをカゴに入れるのが“選り好み”をしないと言うことです。
ある和尚様がこのように話されているのを聞いて、とても分かりやすい表現だと感動をしたことを覚えています。
東光寺(静岡市清水区横砂)の本山である妙心寺の最初の住職である開山無相大師【かいさんむそうだいし】には多くの逸話があります。その1つに「雨漏りの話」があります。
当時の妙心寺は雨が降れば、雨漏りをしていたそうです。
ある日、無相大師が雨漏りを見つけ弟子たちに
「お、雨漏りをしているぞ!」
と言うと、一人の弟子が、雨水を受けるためにザルを持って駆けつけたそうです。
無相大師は、その弟子を褒めたそうです。
そして、少し遅れて後から他の弟子が、桶や鍋を持ってくると無相大師は、その弟子を厳しく叱ったそうです。
初めてこの話を聞いたとき
「雨漏りを受け止めるのにザルは役に立たないし、鍋や桶が正解だ!意味が分からない」
と私はと思いました。しかし解説を聞くと、この話は
「仏心(良心)は瞬時に現れ、次の瞬間、選り好み(感情)や、ためらい(分別)に流れる」
ということを説き、私たちの心の動きを戒めているそうです。
良いと思ったことは、その瞬間に行うことの大切さを教えているそうです。
「雨漏り」と聞いて「必要なものは何か?」と悩んでしまった時点で選り好みが始まるのです。
そして、この選り好みこそが迷いや苦しみの原因になると説くのです。
だからこそ、「雨漏り」の声を聞き、何も考えずに近くにあったものを手に取って駆け付けた弟子が褒められたのです。
では、今を生きる私達は“選り好みをしない”ことは可能なのでしょうか?
何か特別な修行をしなければ“選り好み”から離れることはできるのでしょうか?
そうではないことを、
「選ばずに手に取ったキャベツをカゴに入れることが“選り好み”から離れる練習なのです」
と表現した和尚様の考え方は見事だと感じます。
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