お坊さんになる“きっかけ” 【尊敬する僧侶との出会い編 その2】

お釈迦様が説法をしたと言われる祇園精舎は、お釈迦様の教えを大切にする長者(お金持ち)が、ある王子様の土地を買い取り、寄進したものと言われています。
お釈迦様が説法などをするのに適した場所を探していた長者がこの土地をゆずって欲しいと王子様に頼むと、王子様は「金貨を敷き詰めた場所を与える」と言いました。
しかし、長者が家財を投げ出してまで金貨を敷き始めた姿を見て、王子様は心をうたれ、自ら土地を寄進したという話があるのです。
私は尊敬できる方との出会いが多いため、人との御縁に恵まれているように感じます。
お坊さん・和尚さん・僧侶・宗教家
このような肩書を持つ方にどのような印象を受けるでしょうか?
私が中学生や高校生といった多感な時期を過ごしたとき、世間では“新興宗教”と言われる集団が様々な問題を起こし連日メディアを賑わせていました。そんな、影響も受けたせいかその頃の私は宗教家と言われる(僧侶も含め)方に
怖い・偉そうにしている・うさんくさい・怪しい・人の話しを聞かない
など、あまり良いイメージを持っていませんでした。
しかし、実際に自分自身が僧侶となる前後で出会った、多くの宗教家や僧侶全員が“怖い・偉そうにしている・うさんくさい・・・・”といった方々ではないと感じることができました。
その中には祇園精舎の土地を買い取ろうとした長者(お金持ち)のような和尚様もいました。
あるとき、水害にあわれた知人の和尚様と話をしているときに、
「こないだの大雨で本堂の裏山が崩れて本堂の中に土砂が入っちゃたんだよ。」
と言われました。さらに、その和尚様は
「だから、一生懸命貯めた貯金が無くなったよ・・・」
というのです。この言葉には驚きました。
なぜなら、この和尚様が言った「貯金」とは自分自身の貯金のことであり、お寺の貯金ではないのです。
和尚様が住職をされているお寺は決して大きなお寺ではありません。
お寺の収入は少なく、光熱費などの維持管理だけで精一杯で住職に対する給与なども もちろんありません。
そのため、企業で正社員として勤めながら、時間を割いてお寺の仕事や維持管理をしていたのです。
つまり、お寺とは別の場所で務めながら家族を養う中から作りだしていた貯金を使って本堂の工事を行ったのです。
その貯金を惜しげもなくお寺の為、仏法を広めるために差し出す姿は、お釈迦様が説法をするのに適した場所を探し、自分の財産をなげうって金貨を敷き詰めることで土地を手に入れた長者に似ているような気がます。
この方の姿を見たとき、自分の財産をつぎ込んでまで広げたいと思える仏様の教えとは何なのか、その教えに触れてみたいと感じたことを今でも覚えています。
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