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なんで、キュウリとナスなのか?

500お盆キュウリ 180813





お盆飾りに欠かせないのが“キュウリとナス”でした。


正確にはキュウリで作った馬とナスで作った牛です。


最近は野菜ではない、馬と牛を飾るお宅も増えてきました。






この習慣は御先祖様がこちらに戻ってくるときに、少しでも早く帰ってきて欲しいから馬を用意し、少しでもゆっくり帰るように牛を用意することが由来です。



500お盆ナス 180813




え???



初めてこの理由を聞いたときに私は意味が理解できませんでした。




お客様を招待するときに往復の交通機関のチケットを用意するときに、行きは新幹線、帰りは普通列車のチケットを用意する人はいるのでしょうか?まずいません。馬と牛の由来は本当??



と思ってしまいました。





しかし、この習慣は日本の文化・習慣をおさえて考えれば非常に大切な教えだったのです。





古くからの習慣で、客人を送り出す際に“相手が見えなくなるまで見守る”という習慣があります。


中年と言われる年代の方でも知らない方が増えてきている習慣ですが、お寺では今でもしっかりと残っている習慣です。


正直な話をしますと、歓迎できないような客人だった場合、この見送りの習慣は苦痛です。


「早く見えなくならないかな~ どっかその辺で曲がってくれないかな~」


などと考えてしまいます。


しかし、相手が大切な方だといつまでも見送りたいと感じます。







見えなくなるまで見送る


と言うことは


見えなくなるまで、目の前に客人がいるがごとく見送る


とも言うことができます。


つまり、牛に乗って少しでもゆっくり帰ってもらいたいという習慣は


御先祖という大切な方を少しでも、目の前にその人がいてくれると感じる時間を大切にしたい


という思いが作り出した習慣だったように感じます。





さらに、大切な人と過ごす時間が長くなるように願う気持ちは、




やがていつまでも大切なご先祖様にいて欲しい、見守っていただきたいという気持ちとなり

今を生きている私達は亡くなってしまった大切な方と一緒に生きていける

誰もが、誰とも一緒に生きていける





と実感し生きていけるようになるのだと思います。



お盆にナス・牛を見たときには“誰もが、誰とも一緒に生きていける”と感じてみるのも良いかもしれません。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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