お盆休みには 何を休むのでしょうか!?

これまでの人生を振り返ってみると、世間が“お盆休み”と言っている時期に自由な時間を過ごした記憶がありません。
お寺で過ごしていた小学校~高校時代、お盆休みに友達が旅行などへ行っている間、私は衣【ころも】を着て御檀家様の家へ棚経に周らせていただきました。
お寺から脱出した大学時代もお盆は周囲の同級生と同じように帰省はするのですが、ゆっくり休むという選択肢はなく・・・棚経でした。
そして教員時代、
「生徒が夏休みだから先生も休めていいね!」
などと言われますが、教員が生徒と同じように休めるはずはありません。生徒の長期休暇中にも様々な仕事をしていました。そしてやってくる“お盆休み”・・・
私は有給をとって帰省し、棚経です。
今はもちろん・・・棚経です。
以前は、世間の方々“お盆休み”といって旅行に出かけたり、のんびりとしている所を見ると腹をたてたりしていました。
しかし、本来“お盆休み”とは 何を休めばいいのでしょうか?
お盆の由来は
お盆とは盂蘭盆経【うらぼんきょう】というお経に由来する行事です。このお経によれば、
お釈迦様の御弟子様であった目連尊者は亡くなった母のことが気になり、神通力で母を観察・探したそうです。すると母が餓鬼の世界に堕ち苦しんでいるのを発見しました。
目連尊者はお釈迦様に母を救う方法を尋ねました。
そして、お釈迦様の教えに従って7月15日、僧侶達が総懺悔の行をするに当たり、食物などの布施をしたところ、その功徳で母親は救われたといいます。
このようなお話が元になって、日本に昔からある習慣と仏教の教えが合わさり御先祖様をお迎えしお参りする現在のお盆になったそうです。
・・・この由来では、何を休むのかが私には分かりませんでした。
しかし、ある和尚様がお盆の説明を次のようにされていました。
「昔からお盆の時は川や海には入らず、魚釣りもせず、殺生をしないように心がけていました。いつも命をいただき続けているので、命を殺さない期間も作ったのですね。そして親族も亡き方もここへ帰ってきて心一つにもどっていく。お盆はそういう時間です」
この言葉に触れたとき、
お盆休みには 殺生を休むのだ!! そして、自分自身の心を調えるからこそ亡くなった大切な方と心一つになることができる。
と、納得することができた気がします。
もちろん簡単なことではありません。やはりお盆は大切な修行です。しかし、日本には“お盆休み”という素晴らしい習慣があります。
”お盆休み”という日常を離れるきっかけがある方は、ぜひ殺生を休む・御先祖様をお参りするなど、自分自身の心を調える時間を作ってみてはいかがでしょうか。
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