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畳の縁【ヘリ】に学ぶこと 【その1】

なぜ畳のヘリを踏んではいけないのか


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東光寺(静岡市清水区横砂)の本堂は畳です。


多くの寺院では畳が使われていますが、一般的な住宅では畳がない家が増えてきています。

かく言う私も、学生時代や社会人時代に1人暮らしをした部屋は全て畳ではありませんでした・・・

ですから、「畳のヘリを踏んじゃダメ!!」などと家で怒られたことがある子供も減ってきているのではないでしょうか。

そのため、1日かけてお寺の生活を体験する東光寺の寺子屋体験では朝の会で

「畳のヘリを踏んではいけません」

と伝えています。






説明責任が求められる今の時代、


「畳のヘリを踏んじゃダメ!!」


とだけ言っても納得できない方々も増えてきているかもしれません。ですから、短い言葉で説明するならば


「ヘリは自分と相手の結界(境目)です。この境目に乗らないように気をつける習慣があるため畳のヘリを踏んではいけません。」


と説明しなくてはいけないかもしれません。



ところが、短すぎと説明しきれませんので、詳しく説明をすると、以下の通りです。












なぜ畳のヘリを踏んではいけないのでしょうか。


調べてみると、なかなか深い意味があることが分かりました。


なんと、畳のヘリを踏んではいけない理由を知りたいなら「ござ」を勉強しなくてはいけないのです。






むかーし、むかし、畳が存在しない時代にさかのぼります。その時代に使われていたのが「ござ」です。

当時の人々の生活空間にあったのが土間や板張りの床でした。

土間や板張りの床に座ったり、寝たりするときに敷いたのが「ござ」です。

この「ござ」という言葉は「御座」から転じたものと言われています。




昔、自分達を導いてくれる貴人(身分の高い人)が据わる場所を「御座」と言いました。


身分の高い人に座ってもらう場所なので、少しでも居心地の良い場所にしようと、工夫をして坐ったり横になれるものを作ったのです。そのため、ここで使われていた敷物を「ござ」と言うようになったのです。




そして、この「ござ」の周りを囲んだヘリは、周囲と貴人との結界を意味していたのです。

当然、結界を踏むようなことはしてはいけません。

やがて「ござ」は詰め物などをして進化していき、今の畳となったのです。

そして、「ござ」の結界は畳の結界として受け継がれ、「畳のヘリを踏んではいけません」

という文化が残ったのです。





「畳のヘリを踏んじゃダメ!!」という、たった一言の中に受け継がれてきた畳の縁の歴史を知ったとき、いろいろと感じたことがありましたが、このまま書き続けると長くなりますので続きは、次の記事に書かせていただきます・・・
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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