葬儀・葬式シリーズ 【2】 枕経とは

この記事は東光寺(静岡市清水区横砂)で行われて子供坐禅会で私が話した内容をまとめたものです。
葬儀・葬式シリーズ 【2】 枕経とは
病院でお坊さんに会うと縁起が悪い!?
作務着というお坊さんがよく来ている服で病院に友達のお見舞いに行ったことがあります。
その友達が退院して私に
「お前がお見舞いに来た後、俺が怒られたんだぞ!」
と言うのです。
彼が入院していた部屋は大部屋で、何人も同じ部屋に入院している人がいたのです。
その中の人が私の友達に
「なんで坊さんが病院に来るんだ!坊さんが来るともうすぐ死ぬみたいで縁起が悪いじゃないか!」
と、言ったそうです。
友達に対して悪いことをしてしまったと反省しました。
枕経【まくらぎょう】
昔からの習慣に枕経というものがあります。
人が亡くなったとき、すぐに僧侶がお経を読むことです。
“すぐに”です。お通夜やお葬式の相談をする前にお経を読んでお参りをします。
このとき、亡くなった人の枕元でお経を読むので、枕経と言います。
今は亡くなった後にお経を読んでいますが、昔は亡くなる方と一緒にお経を読んでいたそうです。
これから亡くなる人は元気がありませんから布団から出ることはできません。
布団から出ることはできないけれど、お経を読みたい。
そういう考えが自然と枕経になったのではないでしょうか。
なぜ、お経を読んだのでしょうか。
それは、お経には大切なことがたくさん書いてあるからです。
国語の勉強をしたければ国語の教科書を読みます。
算数の勉強をしたければ算数の教科書を使って勉強をします。
同じ様に、人生(どうやって生きていくか)を勉強したいときの教科書がお経なのです。
さらに、苦しいときや辛いときにどうしたら良いのか悩んだときに読む教科書もお経です。
だからこそ、枕経をすることでお経という大切な教えを聞き、死の恐怖などを和らげたのです。
病院にお坊さんが、お坊さんの服で堂々と行けるようにしたい。
私は「お前がお見舞いに来た後、俺が怒られたんだぞ!」と言われたとき、申し訳ないことをしたと思いました。
私や私の服を見て気分が悪くなった人がいたことが申し訳ないのです。
なぜその人は気分が悪くなったのでしょうか。
私は、枕経の意味が正しく伝わらなくなったためだと思っています。
お経を聞くと安心する、恐怖心を減らすことが伝わっていないのです。
なぜが・・・
それは、葬儀そのものや、葬儀の中の尊い習慣の意味を伝えきれていないからです。
だからこそ、これから葬儀の魅力や 私達がご先祖様から頂いてきた大切な習慣を学び伝えていきたいと思っています。
今回は
枕経とは、亡くなった人の枕元でお経を読むことですが、
以前は枕元でこれから亡くなる人と一緒にお経を読み、死に対して感じる怖い想いを無くしたものが習慣になった
と覚えてもらえればうれしいです。
- 関連記事
-
- 葬儀・葬式シリーズ 【4】 剃髪 (2019/04/08)
- 葬儀・葬式シリーズ 【3】 通夜とは (2019/04/07)
- 葬儀・葬式シリーズ 【2】 枕経とは (2019/04/06)
- 葬儀・葬式シリーズ 【1】 お葬式とは (2019/04/05)
- 葬儀や法事は何のためにするんですか? (2018/04/22)