写経会のときに どんな話しをしているの? その66

「若いころはできたのに・・・」
体力の衰えを感じたとき、ついつい口から出てしまいます。
若い頃には帰れないことは分かっているのに、あの頃の自分に帰りたいと願ってしまいます。
花は根に 鳥は古巣に かえれども
人は若きに かえることなし
と言う詩があります。
花は散って 土に還ることができる
鳥は古巣に帰ることができる
しかし、人は決して若返ることはないのです。
花は土から栄養をいただき、花を咲かせて土に還っていきます。
鳥は巣立った場所に戻ることができます。
では、人は若い頃に戻れないのならば どこに戻ると言うのでしょうか。
禅の言葉に 無事【ぶじ】 があります。
普段から使っている言葉ですが、禅語としての無事は少し意味が違います。
ほとけや、道や、救いを、外や他に求めない心の状態を無事と言います。
私たちは煩悩を持ってるが、その中にも人間を人間たらしめる純粋な人間性が埋みこめられているので外部にほとけ求める必要がないと実感できた状態が「無事」。
です。
さらに、仏教では私達は生まれながらに「無事」の心をいただいていると説きます。
ですから、私達は若い頃には帰ることはできませんが「無事」にかえることができるのです。
人は ただ 無事にかえる ことができるのです。
花は根に 鳥は古巣に かえれども
人は若きに かえることなし
ただ 無事にかえる
そう信じて、心を調えていきたいものです・・・・
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