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大根に学ぶ その2 【大根役者】

私は映画やテレビドラマが好きです。



映画やドラマに出演される方々は多くの努力を積み重ねてきたと思います。



ただ努力を積み重ねるだけでなく、周囲の人と演技力などを比べられ優秀だと判断された方だけが晴れ舞台に立てると感じています。



ですから、映画やドラマでの演技は本当に素晴らしいものだと感じています。





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・・・しかし、ごくまれに「え!??? この演技は素人目にもひどいのではないか!??」と感じるような方が出ているときもあります。そんなとき「大根役者」という言葉が頭に浮かんできます。




大根役者の語源は諸説あるようですが、調べてみると




大根は食材として利用範囲が広く、どのような調理を行っても食あたりをしない。

消化を促進する成分を含み殺菌作用があり漢方薬としても用いられるほどのもので、腹をこわすことがない。

役者の人気が出て成功することを「あたる」と表現することから、役者として当たらないことをかけた。





との説が多く見受けられます。



なんだか、大根は優秀なのに「当たらない役者」とかけられて大根が気の毒になってきます。






このようなことを考えていると“大根役者”さんに


「じゃぁ、お前が演技をして見ろよ!」


と言われてしまいそうです。




では、私に演技ができるのでしょうか。もちろんできません。


演技というのは本当に難しいものです。





中学校の教員をしているとき、時々生徒同士のケンカを止める経験をしました。



ケンカをして興奮状態の彼らは お互いの顔を見ればすぐにでもケンカを再開しようとします。



こんなときに



「お互いのことを考えて 仲直りしなさい。はい握手!」



などと言っても仲直りはできません。



仲直りのふりをして握手をしたとしても すぐにケンカが再開します。






演技ではどうしようもありません・・・



ではどうすれば良いのでしょうか。



演技や嘘をやめるしかありません。本心から許すのです。そうすれば嘘をつく必要もなければ 大根役者にならなくても良いのです。






臨済宗妙心寺派の教え“信心のことば”に


衆生は本来仏なりと信じて、拝んでゆきましょう



とあります。



誰にでも仏様のような尊い心があると信じて、お互いを拝みあうように信頼することの大切さを説いた教えです。





信じるのは自分です。

拝むのも自分です。

変わるのは自分なのです。

大根役者ではなく、大根のような素晴らしい人間になるためには まず自分が変わっていくこと、自分が成長し続けることの大切さを説いてくださっています。




大根役者の足元にも及ばない私には、「演技力を身につけるより 信じて拝む方が良いですよ」と語りかけられているように感じます。
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人物紹介

新米和尚

Author:新米和尚
横山友宏
東光寺 副住職
【静岡市清水区横砂】

中学校で理科を教えていた男がある日突然和尚になった。(臨済宗妙心寺派)そんな新米和尚による、仏教やお寺についての紹介をします。 気軽に仏教やお寺に触れていただければと思います。


元:中学校教師
  (理科・卓球担当)

現:臨済宗妙心寺派の和尚
2人の娘の父親であり、育児にも積極的に参加し!?失敗を繰り返す日々を送る、40代を満喫しようとしている どこにでもいる平凡な男

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