力を抜くために 力を入れる

子供に走り方を教えている方が、コツを教えてくれていました。
上手に走るためには、体の力を抜き、上半身をリラックスさせることが大切です。
とのことでした。
力が入りすぎると体がかたくなり、余計なエネルギーを使って動作が遅くなってしまうそうです。
では、力を抜いて走るにはどうしたら良いのでしょうか。
その方はしっかりと教えてくれました。
「肩にグッと力を入れ、脱力して肩をストンと落とす」
このようにすると力を抜くことができるそうです。
力を抜くために、まずは力を入れるという考え方に驚きました。
仏教では「かたよらない」という考えを大切にします。
数多くあるお経の中から、教えの大切な要素と例え話を選び、それらを日常のやさしいことばにかえて表現した仏教聖典の中にこのような教えがあります。
道を修めるものとして、避けなければならない二つの偏った生活がある。
その一は、欲に負けて、欲にふける卑しい生活であり、その二は、いたずらに自分の心身を責める苦行の生活である。
この二つの偏った生活を離れて、心眼を開き、智慧を進め、さとりに導く中道の生活がある。
この教えを知ったとき
「だったら苦行なんてしなくていいんだ!! 嫌なことはしなくていいんだ!!」
と感じたことを覚えています。しかし、そうではありません。
一生懸命修行することも大切、力を抜くことも大切。あくまでもどちらかだけに偏ってはいけないのです。
肩にグッと力を入れ、脱力して肩をストンと落とす、「力を抜くためには まずは力を入れる」と相通じるもの感じます。