心に残っている葬儀での光景

私には心に残っている葬儀での光景があります。
それは、葬儀に参列していた赤ちゃんを連れた女性の姿です。
葬儀が始まると赤ちゃんは慣れない環境にグズグズし始めました。
そして時より声を出して泣いたりしていました。
そのたびに女性は赤ちゃんを一生懸命なだめます。
やがて時間が経ち落ち着いてくると赤ちゃんは気持ちよさそうに眠り始めました。
赤ちゃんをなだめていた女性も疲れたのかウトウトしています。
そのとき、葬儀は引導法語に入ったのです。
「これはまずい!」と私は思いました。
東光寺(静岡市清水区横砂)は臨済宗妙心寺派のお寺です。
臨済宗の葬儀(葬式)の場合、「引導法語」という漢詩をお唱えます。
これは、故人の一生や人となりを讃える詩になっています。
そして最後に死者の今生への迷いを断ち切り、悟りの世界に導くために
「かぁぁぁぁつ!!」
と大声で導師(葬儀の中心となる僧侶)が一喝するのです。
大きな声で「喝!」とするまで静かに漢詩を唱えていて、突然大きな「喝」が来るので初めての方は驚かれると思います。
この後 導師が「喝」としたら、また赤ちゃんがビックリして泣いてしまうのではないかとドキドキしていました。
そしてとうとう導師が一喝をされたのです。
その瞬間、女性はビクッと体を動かしたのですが、赤ちゃんは静かに眠ったままだったのです。
女性の腕の中で眠る赤ちゃんは、ただただ素直に泣きたいときには泣き、眠りたいときに眠っています。そして、周囲で何が起ころうとも自分の身体・命を女性にすべて預けて安心して眠り続けていたのです。
この姿が私には、仏教が説く「生まれたときから仏様の尊い心いただいている」という姿をそのままに表しているようにも感じます。
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