棚経と隠れキリスタンの共通点

東光寺(静岡市清水区横砂)では7月と8月に棚経【たなぎょう】のため檀家様のお宅に伺っています。
棚経とはお盆の行事です。
「え、お盆って7月でしょう!」
と思った方も、
「え、お盆って8月でしょ!」
と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、お盆は地域差が大きく伝統的に7月に行う地域もあれば、8月に行う地域もあります。
和尚さん同士の会話でも
「あなたのところのお盆は7月?それとも8月?」
と出てきます。
一般的には7月「か」8月なのです・・・
ところが、東光寺がある旧静岡県清水市は7月の地域と8月の地域が混在しています。
ですから、7月の地域の方のお宅には7月に伺いますし、8月の地域の方のお宅には8月に伺います。
しかし、読むお経やお供え物などに違いはありません。
もちろん由来も同じです。
お盆の中心となるのは7月でも8月でも「御先祖様を想い、感謝し、御先祖様を供養したいと願う気持ち」なのです。
先日、長崎・天草「潜伏キリシタン」 世界遺産登録決定のニュースがありました。
このニュースに関連する番組を見ていたとき、大変興味深い言葉がありました。
今でも「潜伏キリシタン」の文化を守り、隠れキリシタンの教えを大切に生活している方の言葉です。
潜伏キリシタン・隠れキリシタンはその名の通りキリスト教が禁止された江戸時代に隠れてキリスト教を信仰していた方々のことを示します。
しかし、明治時代に宗教の自由が認められます。
このとき、潜伏キリシタン・隠れキリシタンは潜伏したり隠れる必要が無くなったので正式なキリスト教徒として生活をしていくことになりました。
しかし、一部の方はそのまま潜伏キリシタン・隠れキリシタンとしての生活をつづけたのです。そして今でもその習慣が続いているのです。
このことについて、番組内で今でも潜伏キリシタン・隠れキリシタンの文化を守っている方に
「隠れる必要がないのに なぜ潜伏キリシタン・隠れキリシタンとして生活をしているのですか。キリスト教になればいいじゃないですか。」
と質問をしたところ、その方は迷いなく
「御先祖が大切にしてきたことだから、私はその教えを守っています。」
と答えたのです。
お盆の行事は「御先祖様を想い、感謝し、御先祖様を供養したいと願う気持ち」が中心となっています。
潜伏キリシタン・隠れキリシタンの教えが何百年と守られた背景にあった心も「御先祖様を想う気持ち」だと知り、日本で生活をする人々に当たり前のようにある「御先祖様を想う気持ち」の大切さを改めて感じました。
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