開山無相大師と十牛図【その6】

東光寺(静岡市清水区横砂)は臨済宗妙心寺派のお寺です。
臨済宗は禅宗とも言われる禅の教えを大切にする宗派であり、本山は京都にある妙心寺です。
ですから、禅の教えや妙心寺の最初の住職である開山無相大師【かいさん むそうだいし】の教えを大切にしています。
この禅の教えと無相大師の生涯を説いた「無相大師の禅・十牛図 (則竹秀南老師著)」と出会い、その内容を平成30年春の子供坐禅会で話をさせていただきました。自分自身の備忘録としてその内容をまとめたいと考え記事にさせていただいています。
十牛図【じゅうぎゅうず】とは、本当の自分(仏の心)を見つけるための過程を10の段階に分けて示した禅の書物です。10の段階を1つずつ紹介させていただきます。
今回は、その6回目です。
その6 騎牛帰家【きぎゅうきか】

飼いならした牛にのって、悠々と家に帰ること。飼いならされた牛は迷うことなく家に帰っていく。いつも自然と仏の心で生活すること。
小さい頃、自転車に乗れるようになると、うれしくてずっと乗っていました。
だんだん運転に慣れてくると、片手をハンドルから離しての運転に挑戦をしました。
意外と簡単にできたのを覚えています。
そうなると次の目標は両手を離すことになりました。
これはなかなか難しかったです。
どうしても転びそうになる・・・
ですから、初めは1秒だけでも手を離してみました。
次は、2秒
その次は5秒
その次は10秒・・・
時間をかけて手を離せる時間を増やしていった記憶があります。
十牛図では、牛は本当の自分を表しています。本当の自分のことを「悟り」とも言います。
残念ながら未熟な私は悟っていません。
ぼんやりとも見えていません。
ですから、無相大師の生涯から学んでいきたいと考えています。
十牛図の、その6は 牛にのって、悠々と家に帰る場面が描かれています。
「牛」という悟りとも表現される「本当の自分(仏の心)」を見出したとしても、無相大師は修行を終えるのではなく、村の中で修行を積まれます。
その修行とは村人と共に農村での生活を送ることでした。
畑の仕事を手伝ってくれと言われれば「ハイ」と言って手伝い、
買い物を頼まれれば「ハイ」と言って買い物をし、
牛の世話を頼まれれば「ハイ」と言って牛の世話をし、
ご飯を食べて行けと言われれば「ハイ」と言って食べる。
無相大師はいつも自然と仏の心で生活することに徹したのです。
そのことによって、自分自身の心(牛)は、ひもをつけなくても暴れたりすることが無くなったのです。
これが、騎牛帰家【きぎゅうきか】とのことです・・・
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