開山無相大師と十牛図【その3】

東光寺(静岡市清水区横砂)は臨済宗妙心寺派のお寺です。
臨済宗は禅宗とも言われる禅の教えを大切にする宗派であり、本山は京都にある妙心寺です。
ですから、禅の教えや妙心寺の最初の住職である開山無相大師【かいさん むそうだいし】の教えを大切にしています。
この禅の教えと無相大師の生涯を説いた「無相大師の禅・十牛図 (則竹秀南老師著)」と出会い、その内容を平成30年春の子供坐禅会で話をさせていただきました。自分自身の備忘録としてその内容をまとめたいと考え記事にさせていただいています。
十牛図【じゅうぎゅうず】とは、本当の自分(仏の心)を見つけるための過程を10の段階に分けて示した禅の書物です。10の段階を1つずつ紹介させていただきます。
今回は、その3回目です。
その3 見牛【けんぎゅう】

さらに牛を探し続け、ついに牛を見つける。牛を見つけることは仏の心を実際に体験したこと。お釈迦様も達磨様も、自分も、みんな平等に仏の心を持っていることをはっきりとわかること。
新幹線に乗っていて富士山が見えると何だかうれしくなります。

私は静岡で生活をしています。生活をしているお寺からは富士山を見ることができませんが、車で数分移動すれば富士山が見えますし、生活圏にはきれいに富士山が見える場所は数えきれないほどあります。
それほど見慣れている富士山ですが、新幹線だけでなく、車から、電車から、飛行機から・・・どこから見えてもうれしくなります。
新幹線に乗っていると、富士山の写真を携帯電話で撮影している方はたくさんいらっしゃいますので、多くの方は富士山が見えれば、その姿に見入ってしまいます。
十牛図では、牛は本当の自分を表しています。本当の自分のことを「悟り」とも言います。
残念ながら未熟な私は悟っていません。
ぼんやりとも見えていません・・・
ですから、無相大師の生涯から学んでいきたいと考えています。
無相大師は徹底的に修行をされ、悟りを開かれました。
「徹底的に」と言われても「徹底的」というのは抽象的な表現です。
私は無相大師の「徹底的」を知ったとき大変に驚きました。
無相大師は鎌倉のお寺で出家し修行をされていました
しかし、ある日
「京都に素晴らしい指導をしてくれる僧侶がいる」
と聞いて、すぐに鎌倉のお寺を出発して京都に向かいます。
そして、京都で師匠となる僧侶と出会い、さらに修行を重ねて悟りを開かれたのです。
鎌倉から京都へ向かう際、その僧侶に早く会いたいと集中するがあまり「富士山に気が付かなかった」と言われるのです。
新幹線ならあっという間に通り過ぎるので気がつかないかもしれません。
しかし、当時は歩いての移動です。
普通に歩いていれば必ず目に入ります。
しかし、富士山の横を歩いて通っているのに富士山に気がつかない。
それほどに集中していたのです。
これが無相大師の「徹底的」なのだと、ただただ驚くばかりです。
しかし子の逸話は、何かを得たいと考えてたとき、「自分なりの徹底」ではなく、これだけの「徹底」が必要なのだと無相大師が伝えてくださっているように感じます。
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