開山無相大師と十牛図【その0】

東光寺(静岡市清水区横砂)は臨済宗妙心寺派のお寺です。
臨済宗は禅宗とも言われる禅の教えを大切にする宗派であり、本山は京都にある妙心寺です。
ですから、禅の教えや妙心寺の最初の住職である開山無相大師【かいさん むそうだいし】の教えを大切にしています。
数年前に、「無相大師の禅・十牛図 (則竹秀南老師著)」を進めていただき読み進めたことがありました。
十牛図【じゅうぎゅうず】とは今から千年程前に廓庵禅師【かくあんぜんじ】によって書かれた、本当の自分(仏の心)を見つけるための過程を十の段階に分けて示した禅の書物です。
妙心寺の最初の住職である開山無相大師の生涯を十の段階に分けて紹介してくださっているため、興味深く読み進めることができました。
そして、この内容を子供坐禅会に参加してくれる子供達に伝えたいと考え、平成30年春の子供坐禅会では十牛図を東光寺特製「仏教豆知識シール」にしました。
今後、10回に渡って十牛図と開山無相大師についてご紹介をさせていただきたいと考えています。
今回は、その1回目の「前」。
「その0」です。
その0 十牛図とは

十牛図とは禅宗における修道の過程を絵と言葉によって示した禅宗入門書です。
十牛図には数種類あり、日本で最も親しまれているのが廓庵禅師によって書かれたものであり、その内容は「牛を探す物語」です!
牛を探す!??
そうです、牛を探すのです。当時の中国では牛はとても大切なものの象徴でした。
禅寺も自給自足の生活をしていましたので、農業のためにも牛は大切な存在であり、切っても切り離せないものでした。そして、野生の牛は暴れやすく飼いならしていけばおとなしくなりました。
大切な牛を探すと言うことは、私達の「本当の自分」、「大切な心」を探すことを意味します。
本当の自分を探す過程を10段階に分けているのです。
本当の自分とは何かと疑問に感じ探し始める段階から、牛を見つける段階、そして暴れるその牛を家に連れて帰り、飼いならしていく段階などに分けられています。
当時の人々にとって生活に密着した出来事が禅の教えとなっていたのです。
人によっては「この本は単に宗教書としてのみでなく,人生読本・修養書としても受用されている。」と紹介し、別の人は「禅の絵本」と紹介します。
禅の教えはただ難しいだけのものではなく、生活に密着し今を生きる私達の人生の道しるべとなり、多くの人に伝わっていくことを十牛図が示してくれているように私は感じます。
十牛図に関する書物等は数多くありますので、どこかで目にすることがあったときには恐れることなく手を伸ばしていただければ、そこから禅との「縁」が膨らんでくるのではないでしょうか。
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