葬儀や法事は何のためにするんですか?

葬儀や法事は何のためにするんですか?
と聞かれることがあります。
私はこのように聞かれ、短い言葉で説明をしなければならないときには
「大切な人の心を受け取り、その心と共に生きていくことを改めて実感するためです」
とお伝えしています。
葬儀や法事は故人とのお別れの儀式だけではありません。
亡くなられた方を供養することで残された私達がどのように生きて行くのかを知ること、そしてどのように生きて行くのかを誓う式なのです。
元臨済宗妙心寺派管長 河野大通老師の言葉に次のようなものがあります
生きながら 死人になりて なりはてて
という歌がありましたけれども、我々が生きているということが、実は死んでおる。
死につつあるということで、一日生きたということは、一日死んだということ。
我々は今まさに生死しておるということ。
そして、それを私たちはただ心に、頭の中だけに思うのではなく、一息一息の中にそれを実現しているんだと実感することが大切だ。
この生死を実感するのが葬儀や法事と言った法要だと私は考えています。
「亡くなった人にお経なんか聞こえないから意味がない」
という人もいます。しかし、亡くなった人、亡くなった人の心は確実に私達の中にあります。手を合わせることで亡くなった方の心と自分の心が一つになっていきます。
その心にお経が入ってくるのです。
人は亡くなったら終わりではありません。
亡くなった人の心を誰もが受け取ることができます。
受け止めた心は私達の中で生き続けます。
受け止めるためには自分の心を調える必要があり、受け止めた後もその心を自分のものとしていくために心を調える必要があります。
そのために法要という習慣があるのです。
本当に必要がなければ習慣は残りません。
今でも葬儀・法事が習慣として残っているのは、法要をすることで我々は今まさに生死していることを、心に、頭の中だけに思うのではなく、一息一息の中にそれを実現しているんだと実感することができてきたからだと思います。
ですから、私は
「大切な人の心を受け取り、その心と共に生きていくことを改めて実感するのが葬儀や法事などの法要」
だと考えています。
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