感じた瞬間に動くことが美しい

ある日の夜遅くに、お寺の前の道路から急ブレーキの音が聞こえてきました。
その直後、「ドン!」という音。
さらに、車が走り去る音が聞こえてきました。
慌ててお寺に来ていた友人達と道路に出ると、一匹の犬が倒れていました。
オロオロする私をよそに、友人の1人は何の迷いもなく自分の車に犬を乗せて動物病院へ走って行きました。
その後、犬は治療を終えたものの重たい後遺症が残りましたが助けた友人の家で過ごすことになりました。
この犬は、もともと友人が飼っていたわけではありません。
事故現場で初めて出会った犬です。
しかし、友人は事故にあった犬を見たときに、何の迷いもなく犬を助けたのです。
その迷いのない行動力はいつまでも忘れることができません。
東光寺(静岡市清水区横砂)の本山である妙心寺の最初の住職である開山無相大師【かいさんむそうだいし】には多くの逸話があります。その1つに「雨漏りの話」があります。
当時の妙心寺は雨が降れば、雨漏りをしていたそうです。
ある日、無相大師が雨漏りを見つけ弟子たちに
「お、雨漏りをしているぞ!」
と言うと、一人の弟子が、雨水を受けるためにザルを持って駆けつけたそうです。
無相大師は、その弟子を褒めたそうです。
そして、少し遅れて後から他の弟子が、桶や鍋を持ってくると無相大師は、その弟子を厳しく叱ったそうです。
初めてこの話を聞いたとき「意味が分からない」と私はと思いました。
解説を聞くと、この話は
「仏心(良心)は瞬時に現れ、次の瞬間、選り好み(感情)や、ためらい(分別)に流れる」
ということを説き、私たちの心の動きを戒めているそうです。
良いと思ったことは、その瞬間に行うことの大切さを教えているそうです。
犬が道路に倒れていたとき、
私は、「誰かの犬かもしれない」や「本当に助かるのか?」、「私に助ける義務があるのか」などの、選り好みやためらいの感情が出てしまいました。
しかし、友人の良心は瞬時に現れ、犬を助けてくれました。
開山無相大師の「雨漏りの話し」に触れるたびに、迷いなく犬を助けた友人の美しい姿を思い出し、自分自身も修行不足を痛感致します。
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