娘を送り出す父親の気持ち

Aさん(男性)
「もうすぐ娘が結婚をするんですよ」
Bさん(男性)
「それはおめでとうございます。」
Aさん
「昔から、娘には早く結婚をして家を出ないさいと行ってきたのに、実際に婚約者を紹介されると嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになりました。」
Bさん
「私も数年前に娘が結婚をするときは同じ気持ちでしたよ。でも今は孫が生まれて、その孫と遊んでいるときは本当に幸せな気持ちになんです。少し先にそんな幸せが待っていると思えば、素直に喜べるんじゃないですか。もちろん、相手の男性をよく見てからですけどね」
AさんはBさんの話しを聞いて少しだけ不安が減ったように見えました。
また、この会話を聞いていた周囲の人々も暖かい気持ちになったように感じます。
仏教の言葉に布施【ふせ】という言葉があります。
人に財物その他を施し与えること
と辞書には書いてあります。
このように書きますと、
「やっぱり坊さんは金の話しが好きだね!布施ってやっぱりお金でしょ!」
と思われてしまうかもしれません。
しかし、布施という言葉をもう少し詳しく調べると、布施にはいくつもの種類があることが分かります。
例えば、3つの布施を表す三施【さんぜ】です。
衣食などの物資を与える財施【ざいせ】
教えを説き与える法施【ほうせ】
怖れを取り除く無畏施【むいせ】
といったものです。
Bさんの言葉は、娘の結婚という未知の体験をするAさんにとっては「恐れを取り除く」ものだったとおもいます。
もちろん、BさんがAさんから見返りが欲しくて言葉を出したのではなく、不安になっているAさんに対して自然に出た言葉でした。
ごく自然に行われた布施行だっからこそ、この会話を聞いていた周囲の人々も暖かい気持ちになったのだと思います。
- 関連記事